年間約2500人の採用力 組織拡大を支える「見える化」と「仕組み化」のDX
【開催期間】2025年7月9日(水)〜8月6日(水)
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【概要】2014年の上場以降、約10年で売上高を50倍に伸ばしたSHIFT。自社にフィットする人材の採用と活躍を促すために、規模の拡大に伴い、あえて「個」に着目した人的資本経営を展開しています。人事データを収集・分析し、施策に反映させてきたユニークな取り組みを紹介します。
本記事の内容は、RX Japan(東京都中央区)が6月25〜27日に開催した「第23回 総務・人事・経理 Week」内で実施された「カイシャのミライ カレッジ」のセミナー「企業に眠る財産 『アルムナイ』活用事例」の内容を要約したものです。
5月9日、グループ全体の約5%に当たる人員1万人を削減すると発表したパナソニックホールディングス。黒字リストラを進める一方で、パナソニックグループはアルムナイ(退職した元社員)との関係強化に注力している。同グループの採用などを担うパナソニック オペレーショナルエクセレンス(大阪府 門真市) リクルート&キャリアクリエイトセンターの坂本崇センター長が、狙いや運用方法を解説した。
パナソニックグループがアルムナイとの交流に注力し始めたのは2024年度から。従来は有志による自主的な活動がメインだったが、2024年4月10日から「パナソニックグループ・アルムナイコミュニティ」を正式なコミュニティーとして位置付け、本格運用を開始した。坂本氏によれば、その目的は「人の循環の輪」を作ることにあるという。
退職後、多くの人は元の会社と関わることはない。「関わりがあったとしても、元の上司や同僚、同期など個人同士のつながりだ。そこに、アルムナイという正式なコニュニティーが関与することで再び会社とつながり、退職で終わらない会社と個人の新しい関係が生まれ、再雇用に至る可能性もある」(坂本氏)
コミュニティーの参加者は、アムルナイ同士の交流に加え、現役社員と交流する機会もあるという。特に、大阪と東京で年1回ずつ開催する交流会では、アルムナイと経営幹部も含む現役社員が集結。その他、「互いのキャリアを対話する会」「ランチタイムに少人数でゆるく語り合う会」など、参加しやすいテーマのオンラインミーティングを設定し、気軽に集まる機会を作っている。
元社員とのつながりを重視する一方、坂本氏は「アルムナイ=会社に戻ってくるための場所と打ち出してはいない」と話す。再就職のためだと打ち出すと、それを目的とする人しか集まらない可能性があるからだ。「再就職した人は当グループの風土を知っていたり、社内システムが使えたりなどオンボーディングコストが少なく済むなど、人事施策的なメリットはある。だが、だからといって特別扱いはしない」(坂本氏)
「あわよくば戻ってきて」という姿勢で、会社側からの積極的な採用活動は行っていないそうだ。もちろん、アルムナイからの再雇用に関する問い合わせには丁寧に回答し、再挑戦への機会も提供する。採用フローも、他の中途採用と同じだという。
坂本氏は「アルムナイには継続的に運営できる体制が欠かせない」と話す。「当社では、アルムナイの登録者に、リーダー的役割を果たしてくれるよう依頼している。企業側に運用を任せると、担当者の人事異動などでアルムナイそのものが立ち消えてしまう可能性も。あくまで主体はアルムナイであり、企業は水先案内人としての立場を明確にしている。
2024年度からスタートした、パナソニックのアルムナイ。立ち上げ時は年内で登録人数300人を目指していたが、すでに500人を超えた。2027年までは認知拡大の期間と定め、 社内外へのアピールを続ける方針だ。「社外へはメディア露出をメインに、社内へはイントラネットなどを活用して周知を続けていく。退職時にアルムナイに登録するか本人確認をするのだが、その時までアルムナイの存在を知らない社員もいる。とくに2025年度は社内への周知を拡大する」(坂本氏)
2027〜2030年には登録人数1000人、出戻り採用は年に10人を目指している。2030年以降は登録人数3000人を目標とする他、アルムナイと協業した新規事業の創出にも期待を寄せる。パナソニックの前身である松下電器の創業者・松下幸之助は「事業は人なり」と説いた。黒字リストラを進める裏で、退職者との縁をつなぐ同社のアルムナイにも注目だ。
「辞めた会社に戻りたい」――増える“元サヤ転職”、その魅力と難しさ
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「出戻り社員」を採用する企業が増加 どんな効果があるの?Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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