同店も「かばんは抱えて入店する」「既に飲んでいる人はお断り」「会話は最小限」などの厳格なルールがある。注文方法もしっかりとした決まりがあるので、客はそれに従わなくてはいけない。
そんな店主のにらみが効く緊張感ある空間で、客は黙って酒とつまみを口に運ぶのだ。少し前、店の前を通ったときに中をのぞいたら、酒を出す店とは思えない静けさと、独特の緊張感が漂っていた。
では、なぜファンたちはこんなリラックスできない店に行列してまで行くのか。食事がうまいということもさることながら、店の厳格なルールに従いながら、店主や他の客に気を遣いながら食事をする、という他の酒場では得られない「体験」が病みつきになっているのだ。
普段は取材を断っているこの店が、珍しく『東京新聞』の取材を受けた際、店主もこう語っている。
「いい年したおじさんがさ、改札を出て『あいつも同じ車両に乗っていたな』と少し速足になる。等間隔で行列に並び、窮屈な空間で行儀よく食べて飲む。ようやく抑圧から解放されて外に出るとまだ明るい。『あー気持ちいい』って、ここまでが宇ち多゛なんだ」(東京新聞 2020年11月4日)
いかがだろうか。これはジロリアンの皆さんにもそのまま当てはまるのではないか。速足でラーメン二郎に向かって、等間隔で列に並び、緊張感漂う窮屈な空間で、ルールに従って行儀良く麺をかきこむ。ロット乱しもせず、きれいに平らげて店から出ると、達成感と解放感に包まれて「あー、気持ちいい」と感じるジロリアンは多いはずだ。
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