職人の年収が低い──沖縄の伝統工芸の課題に、社員100人のIT会社はどう挑んだ?(5/5 ページ)

» 2025年07月14日 06時00分 公開
[長嶺真輝ITmedia]
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社員数は2倍近くまで急増

 小渡氏が入社した2017年時点の社員数は65人ほどだったが、現在はその2倍近くの約115人。業界全体で不足感が叫ばれるITエンジニアの入社も多い。

 もちろん、反対に転職していく人もいる。しかし、そこまで意に介していない。「同じ会社で一生を遂げるという感覚を持つ人が減り、転職マーケットも成熟しつつあります。だからこそ、採用力があることは企業として大きな強みになります。少なくとも、okicomにいる間に『良いキャリアが積めた』と思ってもらえる組織体であれば、また良い人材が入ってきてくれると思います」と小渡氏は前向きに語る。

 マンパワーが増えたことで、できることの幅が広がり、本業への好循環も生まれている。例えば、この1月に新築移転した琉球大学病院から、資材運搬作業を省人化するロボットのシステム構築案件を受注。那覇空港の施設内に大型ビジョンを設置し、クライアントの広告映像を流す取り組みも始めた。医療や広告はokicomの長い歴史の中でも関わりの少なかった領域だといい、人材の拡大が業容の拡大に直結している。

 沖縄DXプロジェクトを通して企業価値を高め、人材が集まり、対応できる領域が広がり、新たなビジネスチャンスが生まれる。正に、お手本のような「サステナビリティ経営」だ。

インプットの量が、多彩なビジネスを生み出す礎に

 小渡氏いわく、新たな事業モデルを生む思考回路を支えているのは、膨大な「インプットの量」だという。

 「okicomの役員だけでなく、金融機関の役員に就かせてもらったり、中小企業の海外展開支援もさせてもらったりしていて、自分の中の世界観が一つだけに限定されていません。インプットの量にとても恵まれているので、何か一つの課題を把握すると、それが別の人や業界、地域にも通じるような一般化した考え方もできます。交友関係でもいろんな分野の方がいるので、何か新しいことをするときに協力してもらえるネットワークがあるのは大きな財産ですね」

膨大なインプットを基にさまざまな事業モデルを発案する小渡氏

 若きリーダーの下、サステナビリティの要素をまとった「おもしろいことへのチャレンジ」が加速しているokicom。小さな“離島県”から、次はどんな斬新な事業モデルを生み出すのか。注目だ。

【お詫びと訂正:2025年7月15日午後2時45分、記事タイトルを一部修正いたしました。お詫びして訂正いたします。】

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厨房機器の製造・販売を手がける中西製作所は、5代目社長の就任を機にDXへと大きく舵を切りました。非IT企業でありながら、なぜここまで全社的にデジタル活用を浸透させられたのか──。背景にある「トップの哲学」と、「横展開が進む仕掛け」とは?

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