ポルノグラフィティの「サウダージ」は50秒、HYの「366日」は41秒――。何の数字かというと、「サビだけ」バージョンのカラオケで、その曲を歌い終えるまでにかかる時間だ。
ここ数年、カラオケで短縮バージョンの曲が静かに広まりつつある。その名も「サビカラ」。業務用カラオケ「JOYSOUND」を展開するエクシング(名古屋市)が、2021年12月にスタートしたサービスだ。
通常、1曲は4〜5分ほどかかるが、サビカラはその名の通り「サビだけ」をピックアップ。わずか30〜40秒で歌い終えられるので、曲のおいしいところだけを味わえるというわけだ。
「最近の若者って、タイパ(タイムパフォーマンス)を気にするらしいからねえ。映画も1.5倍速で見るそうだし、カラオケもサビだけで十分なのかも」と思われたかもしれないが、その通りである。実際、サビカラは若者を中心に支持を集めている。
背景には、ショート動画文化の影響がある。なかでも、多くの動画で「曲のサビ」が使われるTikTokの存在は大きい。「動画を見ていると、フルの歌詞は知らなくても、印象的なサビだけは自然と頭に残る。だからこそ、『サビだけを歌える』カラオケは、TikTok世代と相性がよかったのではないか」と語るのは、サービスを担当するエクシングの秋場茂さん。
サビカラのアイデアは、TikTokとのコラボを検討する中で生まれた。「TikTokとJOYSOUNDで何か一緒にできないか」と話し合いを重ねるうちに、「サビだけ歌う」というコンセプトが形になっていった。
実はJOYSOUNDには、1990年代から「怒涛のメドレー」というサービスがある。これはアーティストやジャンル、年代などのテーマに沿ってワンフレーズずつを連続して歌える仕組みだ。いわば、これを“1曲ずつサビだけ切り出したもの”がサビカラともいえる。
「やっぱり、曲は最初から最後まで歌いたいなあ」と思う人にとっては、少し物足りなく感じるかもしれないが、利用者はどのくらいいるのか。サービス開始翌年の2022年と、直近の2024年を比較すると、歌唱回数は2倍以上に伸びているそうだ。
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