もっとも、再建はまだ入り口の段階だ。日産が5月に公表した経営再建策は、世界の生産能力を350万台(中国除き)から250万台に削減し工場稼働率を改善する方針を掲げ、内外17の生産拠点を10拠点に集約するとした。既にタイの拠点の一部工場の閉鎖とアルゼンチン、インドでの生産撤退は決定している。ただ、タイは拠点としては維持するため、今回の国内2工場の生産終了を合わせても、生産再編の完了には、さらに3カ所の拠点を廃止する難しい作業が控える。
また、現在60%程度に低迷する国内の工場稼働率の改善も予断を許さない。エスピノーサ氏は、追浜工場の機能の統合により日産自動車九州(福岡県苅田町)の工場稼働率は100%に向上し、「中長期的に国内の生産コストは15%改善する」との見通しを示した。
しかし、生産能力の削減で高めた工場稼働率の安定には、相応の販売規模の確保が不可欠で、今後投入するEV「リーフ」やミニバン「エルグランド」などの新型車が消費者の支持を得られなければ、再び稼働率の低下に直面しかねない。
主要市場の米国向けの車両輸出にはトランプ米政権の高関税政策の逆風もある。収益力の回復には過剰生産能力の解消に続き、再建策の「二の矢」となる新型車の商品力が問われる。(池田昇)
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なぜ「時速5キロの乗り物」をつくったのか 動かしてみて、分かってきたことcopyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
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