というわけで今、日本政府は以下のように「対日直接投資促進」を掲げ、世界各国に向けて「日本に投資をしてくれ」と呼びかけている。
「海外の優れた経営ノウハウ、技術、人材等を呼び込み、イノベーションを創出する「内なる国際化」を通じて、日本経済の持続的成長に寄与する」(対日直接投資促進プログラム 2025年6月2日)
ただ、今回の参院選の結果を受けて、この対日直接投資促進という政策は「後退」していく可能性もある。
「なぜ外国人が恩恵を受けるような政策ばかりなのか。まずは日本人の暮らしを豊かにすることが優先されるべきではないか」といった声も出ている。
そう、今回の参院選でも「日本人ファースト」や「外資の規制」を掲げる政党が支持を伸ばしており、比例代表でもおよそ740万票と野党第一党よりも多くの票を獲得しているのだ。こうした社会の空気を考えると、もともと海外からの企業や資本を受け入れるのが得意ではない日本では、「対日直接投資」が簡単に増えるとは考えにくい。
それはつまり、TSMCが熊本に進出してでき上がった「外資系企業城下町」もそうポンポンと増えていくことはない、ということだ。
ただ、「日本人ファースト」を望む人々にとっては、それでも問題がないらしい。現在でも国際的に外資受け入れ度が極めて低いが、これからさらに外資を厳しく規制することで、日本人は豊かになるという。
こうした内向き志向が強まる日本において、「企業城下町」はどんな道をたどっていくのか。今後も注目したい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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