これらの状況を改善し、「働きやすさ」「安全性」「効率性」を実現するには、段階的かつ包括的なアプローチが必要だ。まずは、出社状況や座席の使用率、会議室の稼働状況などを定量的に可視化し、問題の実態を明らかにする。同時に、会議の内容や人数、利用方法などの定性情報をヒアリング。従業員アンケートを実施し、「どこで集中しづらいか」「困っている設備は何か」といった生の声を集めることも重要だ。
突然だが、事実と真実には違いがあるのをご存じだろうか? 今回の場合、事実は客観的な利用率の把握である。この事実の収集は必ず実施したい。事実は納得感や合意形成には欠かせないからだ。一方で、利用者の体験や見えている世界という主観的な真実もある。
例えば、3人掛けのテーブルをソロワークスペースとしている場合。3人掛けのうち、2人が座っている状態だと、利用率は66%。利用率だけ見ると、席は空いている。
しかし、フリーアドレスで、かつ両脇に座っている人が他部署の知らない社員であった場合、その間に割って入って座るのは少し緊張感がある。この場合、その人にとっては「座りにくいがゆえに、席が空いていない」という感覚になる。その意見をまともに受け取ると「席が足りない」という問題となってしまう。
客観的な事実だけを見ると、ユーザーの体感を無視した、一方的な解決策となってしまう。しかし、主観的な真実だけを見ると、膨大な無駄を生み出す危険性がある。事実と真実、主観と客観を行ったり来たりしながら、ソフトオペレーションにより解決策を見いだしていく必要がある。
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