ファミリーマートが発注業務におけるAI活用に着手したのは2021年。開発には実に4年以上の歳月を要したという。村井氏は「まず、どのデータを使えばいいのか、その選定で悩みました」と当時を振り返る。「売り上げデータだけでは不十分です。天候データを入れるにしても、気温だけでいいのか、湿度も必要か、風速は関係するのか。それらをどう組み合わせて数式にするか、何度も頭を抱えました」(村井氏)
さらに、これまで店舗スタッフの経験値に頼ってきた判断を、AIに学習させるがゆえの難しさもあった。「店舗スタッフが考えてきた領域を、AIがほぼカバーできるまで、何度も試行錯誤を重ねました。4年かけてようやくレコメンドできる仕組みが確立されたのです」(村井氏)
現在、AIレコメンド発注の対象は、おむすびや弁当、すし、菓子パン、総菜パンといった「中食カテゴリー」に限定されている。中食から始めた理由について、村井氏は「中食以外では、発注システムが既に存在しているからです」と説明する。将来的にはデザートやサラダ、総菜カテゴリーへの拡大も視野に入れているそうだ。
では、AIレコメンド発注は、どのような仕組みで高精度な予測を実現しているのだろうか。
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