好調だった百貨店の業績が減速している。為替が昨年の円安から一転して円高に振れ、好調だった訪日客の消費が鈍化。ただでさえ長く続く国内消費の低迷などで百貨店は地盤沈下が進み、都市部では富裕層の囲い込みや人気キャラクターの活用に戦略転換を図る。一方、人口減少が深刻で打つ手が限られる地方では閉店が相次ぎ、消費行動の「脱百貨店化」が加速。「曲がり角」を迎えた百貨店が進化できるかが試されている。(田村慶子、清水更沙)
JR大阪駅に直結する大丸梅田店(大阪市北区)の13階は訪日客が集まるホットスポットだ。人気ゲームの関連商品を集めた「ポケモンセンターオーサカ」「ニンテンドーオオサカ」が同じフロアにあり、アニメ「ONE PIECE(ワンピース)」のグッズコーナーもある。
同店の今年上半期の売上高は前年同期比10.4%増で、大丸の他店舗が軒並み減少する中でも好調を維持。同店担当者は「売り場に置いてすぐ完売するものも少なくない。品ぞろえ次第で客単価の向上が狙える」と手応えを語る。高級ブランド品より特別な「体験」を追求する消費傾向をとらえた成功例だ。
観光庁が発表した4〜6月の訪日客数は約1098万人と前年同期から約2割増えたが、1人当たり旅行支出は約23万9千円と0.1%減。手頃な価格のものが売れ、支出に占める買い物代の割合が下がり、宿泊や娯楽費が増えて体験型の「コト消費」に移っている。
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「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モールcopyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
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