流通アナリストの中井彰人氏「デジタル活用、個への対応不可欠」
百貨店の訪日消費が昨年より減ったのは、円高基調になった為替相場によるところが大きい。どこで買っても同じ高級ブランド品が、急激な円安進行で昨年は激安セールとなって特需を生んだ。それが元に戻っただけのことだ。
この現状は各社とも織り込み済み。足元の客数は伸びており、昨年より落ちた免税売り上げも2023年や新型コロナウイルス禍前と比べれば好調だ。訪日客は今後増えると見込まれ、それに対応することで売り上げは緩やかにでも伸びていくだろう。
百貨店が安定的な収益を築くには、LTV(顧客1人からその生涯を通じて得る利益)を最大化する必要がある。課題は外商を中心とした富裕層の顧客の世代交代や、訪日客の動きにどうすばやく対応するかだ。
地方の百貨店は淘汰(とうた)が進み、(都市部の)大規模店舗は何でもそろう従来の百貨店ではなく、富裕層向けの間口を広げて顧客データを集める接点となりつつある。訪日客か国内客かを問わず次世代を取り込むには、デジタルを活用した「マス」(大衆)から「個」への対応が欠かせなくなっている。(聞き手 田村慶子)
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「イオンモール」10年後はどうなる? 空き店舗が増える中で、気になる「3つ」の新モールcopyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
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