紙のタイムカードによる手作業での勤怠管理に、限界を感じる企業は多い。給与計算期間中の残業や休日出勤が常態化し、ヒューマンエラーのリスクも抱える一方、デジタル化に踏み切れずにいる企業も少なくない。
そんな中、日本製シャツを製造・販売するメーカーズシャツ鎌倉(神奈川県鎌倉市)は、勤怠管理のデジタル化に踏み切り、月50時間に及んでいた残業時間を5時間未満まで削減。繁忙期には「仕方ない」とされていた休日出勤をゼロにした。
さらに社労士への給与計算アウトソーシングを可能にし、現在はAIを活用した業務自動化にも取り組んでいる。同社管理本部長補佐で人事総務部ゼネラルマネージャーの大出勇真氏に、デジタル化の道のりと成果について聞いた。
2020年まで、メーカーズシャツ鎌倉の勤怠管理は完全に紙ベースだった。大出氏は「当時の社員数は250人で、勤怠の締め後は確認作業に相当な時間を要していました」と振り返る。
勤怠管理は大出氏と上司、本部スタッフの計3人で担当。休暇申請はFAX、残業も申請制で紙による管理だったため、それぞれの書類とタイムカードを突き合わせる作業が発生していた。
給与計算期間中の業務量は膨大だった。15日締め、25日払いというスケジュールの中で、16日にタイムカードと勤怠関係の書類が届いてからは、給与振り込みの3営業日前までノンストップで作業を続ける必要があった。「総務部は経理業務も担当するのですが、勤怠処理中は経理業務を停止せざるを得ませんでした」(大出氏)
その結果、多い時は月50時間の残業、休日出勤も当たり前の状況だった。手作業による集計作業はヒューマンエラーが発生しやすく、給与明細を見た社員から指摘を受けることもあったと明かす。さらに、タイムカードは会計に関わる重要書類として10年間の保管が義務付けられており、全員分のタイムカードの物理的な管理負担も課題となっていた。
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