年間約2500人の採用力 組織拡大を支える「見える化」と「仕組み化」のDX
【開催期間】2025年7月9日(水)〜8月6日(水)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより事前登録
【概要】2014年の上場以降、約10年で売上高を50倍に伸ばしたSHIFT。自社にフィットする人材の採用と活躍を促すために、規模の拡大に伴い、あえて「個」に着目した人的資本経営を展開しています。人事データを収集・分析し、施策に反映させてきたユニークな取り組みを紹介します。
生命保険会社のコールセンターには、住所変更や口座変更といった保全手続きから、給付金・保険金請求まで、日々さまざまな問い合わせが寄せられている。近年はデジタルシフトが加速し、簡単な手続きはWebで完結するようになった。その結果、コールセンターに寄せられる問い合わせは、より複雑で高度な対応を要するものへとシフトしているのが現状だ。
こうした状況下で、オリックス生命保険は新たな挑戦に乗り出した。2025年5月から、コールセンター部門に配属される新入社員の研修を大幅にアップデート。AIを用いてリアルな顧客を再現したロープレを導入したのだ。この取り組みにより、コールセンター研修はどう変わったのか。また、AI活用にどのような展望を抱いているのか。同社カスタマーサービス部の山下順加氏(デジタルサービスチーム)と松本将敬氏(東京コンタクトセンター長)に話を聞いた。
オリックス生命保険のコールセンターは、大きく分けて個人向けと募集人向けの2つの窓口がある。「お客さま向けの窓口では、住所変更や口座変更などの保全手続き、給付金・保険金請求の問い合わせを受けています。募集人向けは、新契約の申し込みに関するご質問を受ける新契約窓口と、保全手続き、給付金・保険金請求の3つの窓口を設けています」(山下氏)
コールセンターに配属される新入社員は、これらの問い合わせに対応できるよう、さまざまな知識を身に付けなければならない。そのために欠かせないのが新入社員研修だ。
同社では毎年4月から約3カ月間、新入社員向けの研修を実施。保険の基礎知識から自社商品の理解、保全手続きの手順などを座学で学んだ後、実際の顧客対応を想定したロールプレイング研修を行う。この長期にわたる研修を支えるのが、ユニットリーダーやシニアコンタクトアテンダント(SCA)と呼ばれる、現場の中堅社員たちだった。
しかし、この研修体制には課題もあった。研修期間中、現場の要である中堅社員が、本来の業務を離れて研修に専念せざるを得ない状況が生まれていたのだ。山下氏によると、ロールプレイング研修時には、最低でも8人の社員の協力が必要だったという。
中堅社員が複数抜ける研修期間中は、本来の受電業務に対応できる人員が減少する。一人一人の受電数が増加することで現場が疲弊し、顧客サービスの質に影響を与えかねない。加えて、新入社員が入社する時期は年度の変わり目と重なり、問い合わせの件数も増加傾向にある。限られた人員で研修と通常業務を両立させることは、現場にとって大きな負担となっていた。
さらに追い打ちをかけるように、近年のデジタルシフトは別の課題も生み出していた。「デジタルシフト推進の波に乗って、当社も問い合わせ対応の約4割は自動化できるようになりました。裏を返せば、自動化できない残りの問い合わせは、難易度が高いものばかりなのです」(松本氏)
デジタルシフトによる業務効率化が、結果的にオペレーターに求められるスキルレベルを押し上げてしまったのだ。同社は、オペレーターの育成の重要性と業務負担が同時に高まる、という難しい局面を迎えていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング