楽天が「カスタマーDNA」と呼ぶデータ群がある。1億件を超える楽天IDそれぞれに付与された、数千項目に及ぶ属性データだ。70種類以上のサービスから収集したデータを統計的に処理している。
データ活用の流れは、次の通りだ。楽天市場での検索履歴や購入商品、楽天トラベルでの宿泊先、ポイント加盟店での購買履歴などの行動データを収集。これらを統計処理し、「30代女性、既婚者で2人の子どもがおり、ペットを飼っていて、世帯年収は800万円以上」といった属性フラグを付与する。
「私も自分のIDでカスタマーDNAを調べたことがあるが、割と当たっていた」と林氏は笑う。楽天会員として登録していない情報まで、ある程度推定できているという。
このカスタマーDNAと加盟店のPOSデータを掛け合わせることで、店舗ごとの傾向が見えてくる。「シニアが多い店舗では一人暮らし用の商品や魚が売れやすく、ファミリー層が多いエリアでは肉を中心とした大容量パックが売れる」(林氏)といった具合だ。
実際の施策では、顧客を5〜10のグループに分類する。「項目数は何千とあり、組み合わせは何万通りにも及ぶが、ビジネスで使うなら5〜10種類のグループに整理する方が実行性が高い」(林氏)
プライバシーへの配慮も重要だ。「どのエリアに住んでいるかという情報はあるが、詳細な住所のデータは使っていない」(林氏)。楽天カードの支払い遅延情報や、楽天銀行の預貯金額といった金融関係のセンシティブな情報は、マーケティング分析には使用されていない。
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