キャッシュレス化が進む中、ポイントは単なる「お得」から「経済活動の一部」へと変貌を遂げている。本連載では、クレジットカード、QR決済、電子マネーを中心としたポイントプログラムの最新動向を追い、企業の戦略やユーザーへの影響などを分析する。
三井住友銀行の新規口座開設数が前年比1.5倍に急増――。この驚異的な伸びを生み出したのが、2023年3月にリリースされた総合金融サービス「Olive(オリーブ)」だ。銀行口座、カード決済、証券、保険などの機能を一つのアプリで完結させたこのサービスは、わずか2年で500万アカウントを突破。特に若年層から「初めての口座」として選ばれる新たな金融サービスの形が生まれている。
Oliveは2023年3月のサービス開始から、2023年9月に100万アカウント、2024年2月に200万アカウント、7月に300万アカウントと着実に成長し、わずか2年で500万アカウントを達成(出典:三井住友銀行のプレスリリース)メガバンクが提供する金融サービスが、ここまで急速に成長する例は珍しい。「Olive」はなぜこれほどまでに支持を集めているのか。Oliveの500万アカウント突破を記念したイベントでは、芸能人のダイアン津田篤宏氏や渋谷凪咲氏らが華やかに登壇する一方、その片隅で筆者が取材したのは、サービス構想当初からOliveの企画開発に携わってきた三井住友カードマーケティング本部長の伊藤亮佑氏だ。
メガバンクが発表するサービスは業界内でニュースになっても、一般の話題になることは少ない。しかし、筆者の感覚ではOliveは明らかに異なっていた。世間での認知度は他の銀行サービスと比較にならない。実際、三井住友銀行などが行った調査によると、「オリーブと聞いて思い浮かべるもの」の第2位(31.1%)に選ばれるまでになっている。
親世代が「銀行は家や職場の近くにあるもの」と考える一方で、データによれば20代の若者は初めての銀行口座として「立地」ではなく「使いやすさ」でOliveを選ぶという。世代ごとに異なる価値観をどう捉え、サービスに反映させてきたのか――。伊藤氏に詳しく話を聞いた。
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