「新規口座開設数が、Olive効果で確実に増えました。これほど一気に増えたことは初めてです」と伊藤氏。サービス設計においては「専用アプリにするか、それとも本体でやるかなど、さまざまな選択肢がありました」とサービス構想時の悩みを明かした。
多くの企業が若者向けに別ブランドの専用アプリを立ち上げる中、あえて「本体」で展開した理由は何だったのか。「確かに、今までのお客さまのことを配慮しなくて良い分、専用アプリの方が簡単に作れるんです。でも、われわれは銀行のサービスをデジタル化しようとしているので、絶対に本体でやらなければいけないと考えました」と、伊藤氏は当時の判断を振り返った。
「Olive」というブランド名もそこに関連している。「三井住友銀行がもう全部Oliveになるんだから、それ(三井住友銀行)で良いじゃないかという意見もありました。ただ、お客さまへの接し方を変えるという意思表明の意味で、別の名前にした方が良い。オリーブグリーンという色があるので、三井住友銀行のカラーである緑色を大切にしながら、新しい緑色になっていくという思いを込めました」という。
このような大きな改革には必ず組織内の抵抗もある。「全部を変えるというのは、本当に大きな挑戦でした。さまざまな意見がありましたが、当時の三井住友フィナンシャルグループ社長だった太田(純)さんが支えてくださいました」と伊藤氏は述懐する。「現場だけでは突破できないこともあり、トップのリーダーシップが非常に大きかった」と、経営トップの支援が改革成功の鍵だったことを強調した。
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