小売業にとって新規出店は重要な投資判断だ。楽天が2025年秋に商用化を目指す「出店計画最適化」サービスは、この重要な経営判断を支援する。
「小売店にとって、新規出店は会社を成長させるきっかけになるが、土地を買ったり店舗を作ったりと、非常にリスクが高い」(林氏)。従来は商圏人口に想定来店率を掛けるといった単純な計算に頼ることが多く、予測と実績の乖離(かいり)も珍しくなかった。
楽天のAIモデルは、過去の出店データと周辺環境の情報を機械学習で分析する。商圏の人口構成、競合店舗の配置、交通アクセス、カスタマーDNAから得られる地域住民の消費傾向まで、複数の変数を統合的に処理する。
実証実験では、ある企業と共同で実施したPOC(概念実証)で、4店舗の売り上げ予測の誤差が37.7%から7%まで低減された。「7%は非常に精度の高い数字だ。類似サービスを提供する企業の中でも競争力が高い」(林氏)
特に効果が期待されるのが、ドラッグストアとスーパーマーケットだ。店舗パターンが標準化されており、モデルの精度が高まりやすい。一方、飲食店は業態による差が大きく、今後の検討対象となる。
ただ、まだPOC段階ということもあり、商用化までにはより多くの企業での検証、モデルの精度向上、運用体制の整備などの課題もある。それでも、予測誤差を5分の1に低減できることは、小売業界の出店戦略を大きく変える可能性を秘めている。
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