天下一品を大量閉店→自社ブランドとしてリニューアル 黒い背脂ラーメン「伍福軒」は成功するのか長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)

» 2025年09月03日 16時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

京都ラーメンをベースに、東北で人気になった例も

 新福菜館で修業した人が秋田で開業し、東北の人が好む味に進化させた「末廣ラーメン本舗」という店がある。仙台や都内にも進出していて、深夜に多くの人が締めに食べに来ていてにぎわっている。

末廣ラーメン本舗、中野分店

 こちらの中華そばも、当然黒っぽいが、そこまで真っ黒でない。刻みネギはとても控えめに入っていて、カウンターには追加用の刻みネギがあり、適量を入れると新福菜館の中華そばによく似た外見になる。末廣ラーメン本舗はヤキメシもかなり黒っぽく、秋田の人が好むように、料理全般の味は塩気が強くなっている。

 このように、京都のラーメンを東北で独自に進化させたような人気店があるなら、京都のラーメンを東京の人が好むように改良したラーメンも、ありだろう。

末廣ラーメン本舗、中華そばとヤキメシ黄身のせ

 末廣ラーメン本舗が新福菜館のラーメンを秋田の人が好むようしょっぱくアレンジしたのに対し、伍福軒は新福菜館のラーメンをベンチマークして東京の人が好むように背脂を入れた、といった感がある。

 つまり伍福軒の黒いラーメンと、ヤキメシのルーツは新福菜館と見受けられるが、背脂は何がルーツなのだろうか。

 天下一品は屋台の頃からこってり一筋のイメージがあるが、周知のとおり、あっさりラーメンも販売している。どういう商品かというと、これが背脂醤油ラーメンなのである。

天下一品、あっさり

 とはいえ背脂は控え目で、ほんのりと入っている程度。天下一品の店員によると「あまりに背脂が多いと、こってりしてくるので、あっさりの趣旨に合わない。背脂は風味を足す程度に抑えている」とのことだ。伍福軒のラーメンはもっと背脂が目立つが、同様に脂っこいイメージにならない範囲にとどめている。天下一品のあっさりラーメンの背脂の使い方と、通底する考え方がある。

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