長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
「天下一品」の首都圏店舗が2024年に続き、2025年も大量閉店した。ラーメンファンが騒然とする中、さらなる驚きとして、その跡地に「伍福軒」という新しいラーメンチェーンが一挙10店、ほぼ同時にオープンしたのだ。
ラーメンに限らず、飲食店の新ブランドが10店もの大量出店でデビューするのは異例中の異例であり、よほどこの味を広めたいという思いと、勝利の確信がなければできないことだ。各店舗はオープンから5日間、ラーメン1杯を500円で提供するセールを繰り広げ、累計販売数が1万杯を突破するロケットスタートとなった。
伍福軒は「東京背脂黒醤油ラーメン」を標榜しており、都内でここまで黒いスープのラーメンは珍しい。全般に懐かしい屋台の味を感じるラーメンで、スープは見た目ほどしょっぱくはなく、醤油の旨みが伝わってくる。背脂が入っていても脂っこさはなく、あくまで旨みを足す範囲にとどめている。
経営するのは、東京を中心に「天下一品」のフランチャイズ店を展開してきた飲食企業のエムピーキッチンだ。同社は、つけ麺専門店として著名な「三田製麺所」や薄皮餃子専門店「渋谷餃子」などを自ら開発してチェーン展開する、実力派である。伍福軒も東京のラーメンシーンに一石を投じるべく、自社で立ち上げた。
「黒ヤキメシ」も看板商品で、仕上げに使った濃口醤油の旨みがご飯に染みて、より醤油味がガツンと来る。これらを武器に、同社の広報は「東京の人が好む醤油味に仕上がった。毎日でも来られるように価格も抑えた。ぜひ、ラーメンとヤキメシの定食を食べていただきたい」と話す。
天下一品はラーメン1杯900円を超える価格になっているので、もう少し値段を下げたい意向があった。また、一時期、天下一品では黒っぽいチャーハンを出していたが、磨いていけばもっと良くなると考えたようだ。
「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由
天下一品も参入? ラーメン×カレーの“二刀流”を実現する外食チェーンはどこかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング