長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
松屋フーズホールディングス(以下、松屋フーズ)は7月30日、ラーメン激戦区の新宿・小滝橋通りに、新業態のラーメン専門店「松太郎」をオープンした。ベーシックな醤油ラーメンや塩ラーメンを、680円という手ごろな価格で提供している。
同社は2017年8月に中華業態「松軒中華食堂」の1号店を都内に開業し、現在は首都圏を中心に9店舗を展開している。「ヘルシーかつ本格的な中華メニューを、手軽な価格で日常的に利用できる中華食堂」を掲げ、醤油ラーメンやギョーザなどをリーズナブルな価格で提供し、ちょい飲みにも対応する。「餃子の王将」と「日高屋」の中間くらいの価格帯だ。また、日高屋よりもメニュー数が多い。近所にあると便利な町中華をチェーン化したような業態だ。
今回オープンした松太郎は、松軒中華食堂から派生し、ラーメンに特化することで、より狭いスペースでも展開できるようにした新しい業態だ。
なぜ、松屋フーズはラーメンに注力するのか。本稿ではその理由を探っていきたい。
松太郎は、昔懐かしい屋台を思わせるシンプルなラーメンを提供する店だ。
主力の「醤油ラーメン」には、厳選した4種類の醤油をブレンドした特製ダレを使用し、あっさりとした味わいに仕上げている。「塩ラーメン」は、塩や昆布エキスにこだわり、隠し味として海鮮だしを加えた。麺は北海道産の小麦を使った中細ストレートで、富士山の麓にある自社工場で研究を重ね、小麦の香りとコシを引き出している。
松太郎では、松軒中華食堂にはない新たなメニューとして、鮭と青唐辛子みその2種類のおにぎりも提供している。都心では1杯1000円を超えるラーメンも珍しくないが、松太郎ではラーメンとおにぎりを合わせても800円台に収まる。しかも、おにぎりには軽やかな口当たりで冷めてもおいしい青森県産のコメ「まっしぐら」を、のりは有明海産を使用するこだわりようだ。
ラーメンのトッピングやギョーザ、キムチなどのサイドメニューも取りそろえている。ビールやハイボールなどのアルコールもあるが、全体的にメニューは簡素で、調理経験の浅いアルバイトでも厨房を回せるよう工夫されている。
松軒中華食堂が町中華としてさまざまな料理を提供するのに対し、松太郎はラーメンに絞った、よりシンプルな業態といえるだろう。
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