松太郎の1号店は、新宿小滝橋通りと新宿税務署通り・職安通りの交差点から歩いて1分ほどの場所にあり、JRの最寄り駅は大久保駅だ。
店の間口は狭いが奥行きがあり、壁沿いにカウンター席がずらりと並ぶ。席はパーティションで仕切られた“おひとり様”利用に特化した作りで、内外装は町家風の雰囲気だ。
筆者は醤油ラーメンと2種類のおにぎり、ギョーザ3個を注文した。醤油ラーメンは松軒中華食堂のものと見た目はよく似ている。しかし、実際に食べてみると、松太郎の方がスープのうまみが強くて味わいが深く、より専門店らしい印象を受けた。
松軒中華食堂の醤油ラーメンにはよりシンプルな良さがあり、どちらを取るかは、個人の好みの問題と思われた。冷麺も、松太郎の方が松軒中華食堂よりスープの味に深みがあり、味玉も半個から1個に増量されていた。
松屋フーズに松太郎と松軒中華食堂のラーメンが同一かどうかを問い合わせたところ、回答は得られなかった。ただ、筆者としては、かえしやスープの方向性は似ているものの、醤油の配合や食材に違いがあると感じられた。どちらも「あっさり感があるものの、飽きのこない味わい」が共通点でありながら、松太郎の方がややプレミアム感が強い印象を受けた。
松屋フーズがラーメンに情熱を注ぐのには理由がある。
実は、同社の原点は中華飯店だ。1966年に創業者の瓦葺利夫氏(現会長)が練馬区で「松屋」を開業したが、店は軌道に乗らず、1969年に閉店している。
その一方で、吉野家の味に感銘を受けて牛丼の魅力に目覚め、独自に改良を重ねて1968年に牛めし「松屋」1号店をオープン。牛丼業態で成功を収め、近年はとんかつ「松のや」が順調に拡大。他にもカレーやすし、ステーキなど、多角化を進めた松屋フーズの動向は常に注目されてきた。
こうした複数の外食産業での経験を積み重ねた今なら、中華での“リベンジ”が果たせると判断したのだろう。
新宿・小滝橋通りは、「創始 麺屋武蔵」「龍の家」「ラーメン二郎」「蒙古タンメン中本」「クマちゃんラーメン」「一蘭」など、強豪がひしめくラーメンの聖地だ。ここで勝ち抜くことができれば、松太郎も全国区となれる可能性がある。
「牛丼」「うどん」に続け 吉野家、二度目の「ラーメンチャレンジ」は成功するか
ハイペースで倒産続く「ラーメン業界」 地位脅かす回転すしやファミレス 「他業種参入」はなぜ起きたのかCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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