人材はどこから来るのか? 外国人、AI、自動化に委ねる2040年の労働市場2040年の人材ビジネス大予測(4/4 ページ)

» 2025年09月05日 08時30分 公開
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2040年の人材ビジネス大予測』(黒田真行、 神宅謙一郎/クロスメディア・パブリッシング)

 その一方で、自動化やAIの進化により、単純作業や定型業務の多くは機械に取って代わられ、定型業務労働者の需要は減少していきます。世界経済フォーラムの報告書によれば、2025年までに現在の職業の52%が自動化される可能性があるとされ、日本でも製造業やサービス業を中心にこうした影響が見込まれます。これにより、定型業務労働者は低賃金職に就かざるを得なくなり、長期的には「買い手市場」に取り残されることになります。

 介護分野では、厚生労働省の予測によると、2040年には約69万人の人材が不足するとされています。対照的に、事務職や製造業の単純労働は自動化が進んでおり、求人は減少し続ける見込みです。また、農業では担い手の高齢化が顕著で、就業者の平均年齢は現在67歳を超えており、次世代継承問題はすでに時間切れが迫っています。

 さらに、都市部と地方での地域間格差も拡大します。総務省のデータによれば、2040年には東京圏の人口が日本全体の30%を占め、地方の人口は急速に減少する見込みです。若者が都市部へ流出し、地域の経済や産業が停滞することで、地方での就職機会が減少します。

 また、労働力不足を補うために、外国人労働者の受け入れはさらに拡大する方向です。

 法務省の統計によると、2021年時点での外国人労働者数は約172万人でしたが、2040年には300万人を超える可能性があり、特にITや介護分野でその存在感が強まると言われています。

 この流れの中で、日本の人材サービス業界が産業としてどんな役割を引き受けるのかが注目され始めています。

黒田真行:

 ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役

 1988年株式会社リクルート入社。2006年から8年間、転職サイト「リクナビNEXT」編集長、株式会社リクルートキャリア HRプラットフォーム事業部部長、株式会社リクルートドクターズキャリア取締役などを歴任。2014年ルーセントドアーズ株式会社を設立し、35歳以上専門の転職支援サービスを運営。また、HR業界のベンチャーから大手まで、30社を超える「求人サイト」「転職エージェント」の成長戦略コンサルティングを展開。主な著書に『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。


神宅謙一郎:

 WaGaGoToプランニング 代表

 1992年株式会社リクルートフロムエー(現リクルート)入社。関西、東海、関東、ローカルエリアの営業企画を18年間担当。「フロム・エー ナビ」「はたらいく」の新規求人メディアの立ち上げに従事。最大期は札幌から鹿児島までの26拠点を旅芸人的に担当。2015年4月から5年間、ツナグ働き方研究所主任研究員として求人サービス、HRテックサービスの分析と比較を行う。2020年4月に独立し、WaGaGoToプランニングを設立。「#求人ツッコミニスト」でSNS発信を行うほか、求人サービス援護会会長、採用パーソナルトレーナーとして活動。


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