会社の業績に寄与しない仕事は極力排除すべし 業務効率化に必要な視点(3/6 ページ)

» 2025年09月10日 05時00分 公開
[ITmedia]

――ストレスと生産性に関係はあるのでしょうか?

 はい。まさに私の著書で紹介した「ストレスは生産性の天敵」というのは、良い意味でのストレス、つまり「忖度(そんたく)なく意見を言い合える関係性が生産性を押し上げる」ということなんです。

 とはいえ、いきなり本音でぶつかればいいというわけではありません。いきなりストレートな物言いをしてしまえば、ほとんどの場合はけんかになってしまいます。その際に必要になってくる考え方が「人間関係のピラミッド」です。

 あいさつ、共通体験、価値観の共有、曖昧(あいまい)さの許容といった積み上げがあってはじめて「ストレートな物言い=真の意見交換」が成立します。ここでも「人間として慣れて使えていたもの」は捨てない方がいいと思っています。

――実際の職場で、意見をぶつけ合える関係を築くにはどうすれば?

 まずは「あいさつ」が最も基本的な一歩でしょうか。例えば、廊下ですれ違った人には「お疲れさまです」と声をかける、明日の会議で初見の人とエレベーターで一緒になったときには「明日よろしくお願いします」とちょっとした一言を言えるかどうか。これだけでも「私はあなたの敵ではありません」という無言のメッセージになりますよね。

 実際、私が提唱する人間関係のピラミッドの土台にあるのは「能動的なコミュニケーション」。声をかけられるのを待つのではなく、自ら関係を築きにいく姿勢が問われます。

――そのうえで意見を言い合える関係を築くには?

 特に重要なのは「曖昧さの許容」です。生産性を求めて正論ばかりぶつけていてはチームは壊れます。実際、某検索エンジンの会社では採用面接時に「この人はグレー(曖昧さ)を許せるか」を診ていると聞きます。

 自分の意見をいったん引いて、他者の考えも受け入れられる懐があるかどうか。それがなければ、どれだけ能動的に動けても、どれだけ説明力があっても、対立が生まれます。対立が生まれれば生産性はマイナスですから。

――人間関係構築には、社会背景やリテラシーも必要ですか?

 はい。これが「アンテナ力」です。例えば、相手が外国籍だったり、世代が異なる場合、歴史や社会背景を知らないまま会話することで衝突を生むことがあります。

 これは高齢世代と若手の間でも同じ。想像して欲しいのですが年金制度への認識1つとっても、無意識の発言が相手の信頼を失う要因になります。つまり、生産性を高めるための人間関係とは、能動的なコミュニケーション力や曖昧さの許容力に加え、相手の社会的な背景までを想像する力も含まれているんです。

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