――毎日のスケジュールが会議ばかりで手が動かせないという声も多くあります
よく聞く話ですね。役職が上になるほど「定例会議に出るだけで1日終わる」という方が多い。私たちが相談を受けるクライアントの多くも、まさにその状態です。
「出席しても“発言すらしない会議”が多い」という話も聞きますが、もはやそれは「バリュー0」です。発言もしない会議に行く価値なんてありませんから。
――生産性を追い求めると生産性は上がらない、とも説明していました
はい。私たちは機械ではなく人間ですから。生産性を考える上で何より大切なことは「人間の感情と欲求」を理解することです。
そして、この手の人間の感情と欲求を理解するためには「マズローの欲求5段階説」が有効です。
――どのように生産性とつながるのでしょうか?
例えば、あるマネジャーが「会議の効率化を図ろう」と部下に指示したとします。でもその部下が“生理的欲求”すら満たされていない、つまり深刻な寝不足で、さらに生活できない水準の給与も支給されていなかったら、その指示はきっと響かないのではないでしょうか?
つまり、マズローのピラミッドでいう“承認欲求”より下の階層にいる相手に対して「創造性を出せ」といっても無理なんです。私もTBS時代、ドラマ制作現場では夜中遅くまでの作業もありましたが、ただその状況で、ドラマと無関係の業務指示があっても動けなかったですね。編成局の上司から「今後のマーケティング戦略について意見を出せ」と指示があっても、「まず寝かせてよ」が本音でした。
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