「発達障害の診断を受けている部下とのコミュニケーションがうまくいかない」「優秀だと思って採用した人がチームワークを乱し、かえって生産性が下がっている」――こうした課題を抱える企業は少なくない。一方で、発達障害の特性がある社員が驚くべき成果を上げている企業の事例も注目を集めているのも事実だが、こうした企業の違いは、何から生まれるのだろうか。
鍵となるのが「ニューロダイバーシティ」(Neurodiversity)という考え方だ。直訳すれば「脳の多様性」を意味するこの概念は、従来の人事評価の在り方やパフォーマンスの引き出し方を根本から見直すきっかけを与えてくれる。そして、その恩恵は発達障害のある人だけでなく、全ての働く人に及ぶ可能性を秘めている。
ニューロダイバーシティとは「Neuro」(脳・神経)と「Diversity」(多様性)からなる造語で「脳や神経、それに由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で生かしていこう」という考え方を表す言葉だ。
この概念を生み出したのは自閉スペクトラム症(ASD)の当事者たちで、現在では注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)なども含む発達障害に関する議論で用いられることが多い。その場合、発達障害は能力の欠如や優劣ではなく「人間のゲノムの自然で正常な変異」として理解される。
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