(1)個人のウェルビーイングの向上:マイノリティの就労・活躍機会の増加
(2)組織の成長戦略:生産性向上・イノベーション創出
前者は、これまで社会で十分に活躍の場を得られなかった人々に対し、その特性を生かせる環境を整備することで、より多くの人が社会参加できる状態を期待する立場だ。フレックスタイムや静かな環境の提供といった「合理的配慮」、得意なことに集中できる業務の切り出しなどが考えられる。
しかし、この立場に偏り過ぎると、自社の業務に不向きな人でも受け入れ、その人のために簡単な作業を特別に用意してしまう事態にもつながりかねない。組織全体の生産性に悪影響を及ぼし、本人のモチベーション低下を起こすリスクがある。
そもそも「障害のある人が簡単な仕事しかできない」というのは偏見だ。マイクロソフトでは、ニューロダイバーシティに特化した雇用プログラムで発達障害のある人材を170人雇用し、その中から主力製品を扱うエンジニアも生まれている。
このような事例に可能性を感じ、埋もれていた優秀な人材を獲得する手段としてニューロダイバーシティに注目するのが(2)の立場だ。従来の基準では評価されづらい人たちを採用し、圧倒的なパフォーマンスを出せる環境をつくることで、生産性向上やイノベーション創出を狙う。
ただし、最初から成果への期待が大き過ぎると、特定の才能に秀でた人ばかりを求めてしまうことになりかねない。その結果、多様ではないチームが出来上がる可能性もある点には注意したい。
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