企業は「発達障害」の社員とどう向き合うべきか 成果を出す企業に共通する視点(2/5 ページ)

» 2025年09月11日 06時00分 公開
[やつづかえりITmedia]

経済界がニューロダイバーシティに注目する理由

 最近では経済産業省が取り組みを推進するなど、日本でもニューロダイバーシティへの注目度が高まっている。その背景には、海外企業の実践や研究により、ニューロダイバーシティが企業の生産性向上やイノベーションにつながると明らかになってきたことがある。

 独ソフトウエア大手のSAPは、2013年から自閉スペクトラム症の人を対象とするインターンシップ型の採用プログラムを実施し、14カ国28拠点、25以上の職種で160人以上を雇用している。米JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーは、自閉症者を雇用するプログラムの初期に雇った人たちが、入社6カ月後には他の従業員より48%も高い生産性を示したことを報告している。

 このような効果には、複数の要因がある。

 まず、発達障害のある人々が持つ認知特性――集中力の高さ、細部への注意力、パターン認識能力、論理的思考力など――が、ソフトウェア開発をはじめとする特定の業務に非常に向いており、優れた成果が出やすいということがある。また、多様な人材を受け入れるための環境整備や意識改革が、結果的に全ての従業員にとって働きやすい状態を生み出すのも重要なポイントだ。

企業における「ニューロダイバーシティ推進」のヒント

 日本で職場のニューロダイバーシティに期待を寄せる人々の立場には、次の2つの方向性があると、筆者は感じている。

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