ビジネスモデルや話題の商品を支えるのは、“なんとなくの勘”ではなく、「数字」がひそかに物語る場面がある。価格のつけ方、ネーミング、ターゲットの絞り方、販促の立ち上げ──。本連載では、注目の企業や商品などが、どんな数値的思考で設計されたのか。現場の担当者に話を聞きながら、その「ササり方」を探っていく。
ここ数年、コンビニの「おむすび」はどのようなトレンドで動いているのか。ご存じのとおり、お米の価格が上昇していることもあって、大手3社は「価格をできるだけ抑えつつ、満足感のある商品」にチカラを入れてきた。
セブン-イレブンは「うれしい値!」キャンペーンを実施し、手頃な価格の商品も扱っていることをアピール。ファミリーマートは「サンドおむすび」「SPAM むすび」など、高価格帯の商品を投入。ローソンは「盛りすぎチャレンジ」を展開し、通常より49%も増量した商品を販売。
おむすびコーナーの棚を見ると、「シーチキンマヨネーズ」「昆布」といったちょっと安めの定番商品と、ボリューミーなちょっと高めの商品がズラリと並んでいる。二極化が進む中で、「過去最高レベルのキャンペーン」を展開しているところがある。ファミマの「おむすび二刀流、解禁。」だ。
このキャンペーンは、2025年3月4日にスタート。おむすび専門店「ぼんご」(東京都豊島区)が監修した新作2種と、従来比1.5倍サイズの定番2種を用意した。
また、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手を「おむすびアンバサダー」として起用。大谷選手が試合でホームランまたは勝利投手になれば、50円引きのクーポンをプレゼント(先着1万人)する企画を実施した。
で、結果はどうだったのか。おむすびの売り上げは、1店舗当たり前年比120%を超えたのだ。
ぼんご監修の「手巻 肉そぼろ(卵黄ソース)」(198円)、「手巻 高菜明太マヨネーズ」(198円)、「大きなおむすび 昆布とツナマヨネーズ」(258円)、「大きなおむすび マヨたま」(285円)の4種は、3週間(3月4〜24日)で900万個を超えた。
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