ビジネスモデルや話題の商品を支えるのは、“なんとなくの勘”ではなく、「数字」がひそかに物語る場面がある。価格のつけ方、ネーミング、ターゲットの絞り方、販促の立ち上げ──。本連載では、注目の企業や商品などが、どんな数値的思考で設計されたのか。現場の担当者に話を聞きながら、その「ササり方」を探っていく。
ハンドルを「ガチャガチャ」回すと、小さなカプセルがコロンと落ちてくる――。
商業施設や駅の構内などで、カプセルトイのマシンをよく見かけるようになった。日本玩具協会によると、市場は2019年度の353億円から2023年度には800億円を突破し、わずか4年で2倍以上に拡大している。
カプセルトイ市場が盛り上がりを見せる中、オフィス文具メーカー「キングジム」(東京都千代田区)も、カプセルトイ風の商品を展開している。その名は「キングミニ」。2022年6月に発売したところ、目標の5万個は3カ月で完売。その後も好調に推移しているわけだが、そもそもどういったきっかけでキングミニを開発したのだろうか。
きっかけは、企画を立ち上げた金谷聡志さんの”カプセルトイ愛”である。仕事の帰り道に、何気なくカプセルトイのハンドルを回していたところ、ふと、こんなことを思いついた。「会社にはロングセラー商品がたくさんある。認知度が高いので、そうした商品をミニチュアサイズにすれば、面白いかも」と。
オフィスで働く人の多くは、キングジムの商品を目にしたことがあるはず。例えば「キングファイル」。累計販売数は5億個(現在は6億個を突破)を超えているので、金谷さんは「カプセルトイのように、キングファイルを小さなサイズにすれば売れるのではないか」と考え、企画を進めていく。
だが、上司からは「小さくするだけでは、ウチが手掛ける意味がない」と厳しい言葉をかけられた。かわいいだけでは意味がない。カプセルトイのようなフィギュアではなく、実際に使える「本物の文具」でなければいけない。このように受け止めた金谷さんは、設計をイチから見直すことにした。
「47都道府県ピンバッジ」が人気 なぜ「群馬県」が断トツに売れたのか
サザエさんの家の価値は? 昭和と令和の“間取り”が示す時代の変化
「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきた
なぜ「でっかいCDラジカセ」が売れているのか たまに止まる理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング