「文具×ガチャ」またひそかに売れた、キングジム「3カ月完売」ヒットの秘密ササる“数字”のつくり方(4/6 ページ)

» 2025年07月26日 06時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

目標の数字が2倍、なぜ?

 冒頭で紹介したように、第1弾の目標は5万個だったが、わずか3カ月で完売した。発売前からSNSを中心に「小さくてかわいい」「早く実物を触ってみたい」といったコメントが並んでいたものの、同社にとって前例のない商品である。どのくらい売れるのかよく分からなかったので、とりあえず5万個を用意した。

 この「5万個」という数字は、多いのか少ないのか。カプセルトイの世界でいえば、「1万個売れればヒット」と言われている。キングミニの第1弾は6SKUを発売したので、1SKU当たり8000個ほどになる。つまり、カプセルトイの基準で見れば、「まずまず」といえるわけだ。

 ただ、気になることがある。「3カ月で完売」と聞くと成功に思える一方で、商品がすぐに手に入らなかったことに対する不満の声も多く寄せられたという。「なぜないのか?」という声がたくさんあって、営業担当者はそのたびに頭を下げて回ったそうだ。

第2弾の「キングファイル ミニバインダー」
第2弾の「ミニGボックスPP」

 さて、第2弾はどうだったのか。2024年6月に新商品を投入し、目標は9万8000個に設定した。前回の目標から2倍ほどに増やしたので、「会社あるあるだよなあ。想定以上に結果がよければ、『次はこれくらいやれるでしょ』とノルマが増えるんだよ」とぼやいている読者もいるかもしれないが、根拠のない数字を並べたわけではない。

 第1弾の販売データ、営業現場の声、商品別の回転率、物流コスト、そしてSKUの数など。こうした数字を検証したうえで、目標の数字を設定したそうだ。

 では、金谷さんはこの数字をどのように受け止めていたのか。「いきなり2倍でしたから、胃がキリキリしました。本当に売れるのかなあと」心配したそうだが、第2弾も3カ月で完売。ということは、再び、お客や代理店から不満の声が出てきたのではないだろうか。その通りである。

 「なぜないのか?」という問い合わせが多く、営業担当者が再び頭を下げる日が続いたそうだ。

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