小ささと実用性。一見相反する価値を両立させるため、細部の寸法、使い心地、素材選びに至るまで、ミリ単位の調整を積み重ねていった。
新商品の企画は、課や部のレベルではすでに承認を得ていた。だが、問題は「開発会議」である。この会議には社長や役員が出席し、製品として本当に世に出すかどうかを最終的に判断する。いわば社内の“登竜門”で、ここを通過して初めて商品化が決まる。
その場で、金谷さんはプレゼンするものの、反応はあまりよくなかった。「実用性に乏しい」「売れないのではないか」といった声が広がる中で、当時の宮本彰社長(現会長)はこう言った。
「面白いと思う。私は好きだな」
なぜ、このような発言をしたのか。先ほど触れたように、オフィスで働く人にとってキングジムの商品は目にすることが多いが、そうでない人にとって認知度はまだまだ。社会人経験のない学生にとっては、「キングジムって何?」という認識にとどまっている。
このことは調査でも明らかになっていて、会社としても課題のひとつとして受け止めていた。そうした中で生まれたキングミニは、サイズこそ小さいが、実際に使える実用性も備えている。開発会議では「SNSで話題になるかもしれない」といった声も出て、製品化が決まったのだ。
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