育成した人材を活用し、会社全体でDXを推進するためには、何が大切なのか。第一三共が重視するのが、経営層の戦略と現場のアイデアの融合である。「トップダウンでの考え方と、ボトムからのアプローチ。両方重要だと思っています」と上野氏は強調した。
経営戦略面では、同社は現在、2026年度から始まる新しい5年間の中期経営計画を策定中だ。この計画に合わせて、各組織に配置したDX戦略担当者とグローバルDXを担当するBRM(ビジネスリレーションシップマネジャー)が連携しながら、「DXコンセプト」と呼ばれる事業部単位でのDX戦略を策定している。
一方、現場からの意見の吸い上げには、公文氏ら全社変革推進グループが重要な役割を果たしている。同グループでは、先進技術の可能性を現場と共に検討するアプローチを採用している。生成AIやVRなどの先進技術に関するインプットセッションを実施し、その後現場でのワークショップを開催。そこで生まれたアイデアの中から、実証実験の対象を選定し、実際の検証を行う一連のプロセスを確立しているという。
このアプローチの効果は、すでに表れ始めている。現場のニーズに即した実現可能性の高い施策を見出せることに加え、成功事例の早期共有により、新たなアイデア創出の好循環が生まれているという。
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