シャトレーゼとミニストップ 不正はなぜ起こった? 企業不祥事報道から学ぶべきこと(3/5 ページ)

» 2025年09月30日 05時00分 公開
[大関暁夫ITmedia]

 シャトレーゼは昭和(戦後の高度成長期)の設立で、かつ同族経営(現ホールディングス社長は創業者の次女)であり、年を追うごとにコンプライアンス重視の経営が求められている時代の変革に意識と体制が置き去りにされた、といえそうです。相次ぐ不祥事を受け古屋社長は、ここ10年で倍増した店舗網について一度「凍結」、成長戦略を止めて、コンプライアンス関連部門の再編成、チェック機能の強化、コンプライアンス教育の徹底などを行い、再発防止に向けた基盤強化に努めるとしています。

 しかし重要なことは、深く根付いた風土の下で、グループ総勢4600人という従業員の末端まで意識改革の徹底が図れるか、という点です。体制整備が多くの社員にとって他人事にならないか、研修が形式的な受講に終わらないか、といった不安はぬぐいきれません。

 体質改善において必要なことは、組織のトップ自らがコンプライアンスを自社事業の「一丁目一番地」として位置づけ、その重要性を自らの言葉で事あるごとに訴え続けることです。シャトレーゼにおいても、オーナー自身が明確に意識改革をして、自らの行動をもって浸透させられるか否かにかかっているといえます。

ミニストップで起こった「賞味期限偽装」問題

 最近の企業不祥事報道でもう一つ気になるものが、コンビニ大手ミニストップにおける店内調理品の消費期限偽装問題です。

 8月に偽装が発覚し、全店調査の結果、7都府県25店舗で偽装の事実が確認されました。店内での調理後にすぐ貼るべき消費期限を一定時間空けてから表示したり、店頭商品の消費期限ラベルを貼り換えたりといった偽装が3年前から行われていました。8月以降、全店で店内調理を休止し、当面は再発防止体制の整備を優先して再開の時期は「現状未定」としています。

 この手の食品偽装で思い起こすのは、2007年の「赤福」や「白い恋人」、さらに高級料亭「船場吉兆」などで、相次いで消費期限や賞味期限の改ざんが行われていたことでしょう。大きく社会問題化したことで、以降は食品業界ではほぼ、期限偽装問題は根絶したといって良い状況が続いていました。ではなぜ今、コンビニチェーンのミニストップで、同様の不祥事が起きてしまったのでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

SaaS最新情報 by ITセレクトPR
あなたにおすすめの記事PR