一つには、コンビニチェーンは大半がフランチャイズ加盟店であり、運営会社と実際の店舗運営が別であることが挙げられます。同一組織内であれば企業文化として根付かせられるはずのコンプライアンス意識が、別経営となるとどうしても一体感が損なわれて希薄になってしまいます。もちろん、他のコンビニも同じような運営環境にあるわけで、ミニストップでこのような問題が起きたことは、運営会社の現場に対するコンプライアンス管理の甘さがあったことは否めないでしょう。
もう一つ、ミニストップが店内調理食品を扱いながら、食品製造業としてのコンプライアンス意識に欠けていたということにも、大きな問題が見出せます。フランチャイジーのコンビニ店舗運営者は、あくまでコンビニという小売店経営の感覚でコンプライアンスを捉えていた節が強く、自店で調理したものを販売する、食品製造業としてのコンプライアンス意識に欠けていたのではないかと思うのです。
それが故に、過去に食品業界を震撼(しんかん)させた表示偽装問題も他人事として受け流され、自店の運営に生かされることがなかったのではないでしょうか。一義的責任は、当然不祥事を起こした加盟店店舗にあります。しかし、各店舗運営者に対して自店調理食品を扱う意味や、単に仕入れたものを販売する小売業とは異なる責任が発生するという意識の徹底が不十分であった観点からは、フランチャイズチェーン運営会社としてのミニストップは、大いに責めを負うべき立場であると考えます。
ミニストップは再発防止に向けて、品質管理者の配置、厨房カメラの設置、消費期限変更アラート機能付ラベル発行機の導入などを発表しました。しかし、これらはあくまで当該不祥事に対する対症療法に過ぎません。
この事例に限らず、小売業として、また食品製造業としてあらゆるコンプライアンス違反を起こさせないためには、現場における根本的なコンプライアンスマインドの醸成策が欠かせません。この点をどのように解決し、運営会社とフランチャイズ店舗の温度差をいかに埋めていくのかが、ミニストップにとっての最大の課題でしょう。
ミニストップ「おにぎり100円」終了の衝撃 あえて具材増量に踏み切ったワケ
爆笑問題の田中も働いていたミニストップが“日本最小級”のサイズになっていたCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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