そんな「FCオーナー不足」を解決するのは、主に外国人だ。2023年にはミャンマー人として初めてセブンのオーナーになった女性が話題になったが、公式Webサイトの「オーナーインタビュー」では、セブンでバイトした後にオーナーとなった中国人夫妻が紹介されている。
「移民反対」を掲げている人には、なかなか受け入れ難い話だろう。筆者も日本人の低賃金を固定化する外国人労働者の拡大は、安倍政権時代からずっと反対してきたが、外国人労働者の数はコロナ禍をのぞいて右肩上がりで増え続けている。
毎年、和歌山県の人口に相当する約90万人の日本人が減っていくこの国で、営利企業が成長を続けていくためには「労働者の輸入」を止めることはできないのだ。実際「多文化共生の拠点」を掲げるセブンは、2030年度までに今よりも1000店舗増やすことを目指しているが、これは外国人の力なくして、100%達成できない。
ただ、このような形でセブンが成長しているおかげで、われわれは世界の人々が驚くほど安価で、質の高いコンビニ食品やスイーツを手に入れることができるという「不都合な真実」もある。
このような「便利な暮らし」を守るため、低賃金で働く外国人をたくさん呼んで「多文化共生」を実現していくのか。それとも、「日本人ファースト社会」を守るため、外国人の受け入れを抑制して「安くてうまい商品・質の高いサービス」を諦めるのか。
安いものがたくさんあふれた「便利な暮らし」はしたい。コンビニ、建設現場、食品工場、介護など辛い仕事はやりたくない。でも、外国人は出ていけ――。そんなムシのいい話はさすがに通用しなくなってきているのだ。
なんやかんやと言い訳をして、先送りにしてきたこの問題と、日本のビジネスパーソンたちもそろそろ真剣に向き合っていくべきではないか。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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