JR九州「ななつ星」の接客術を導入 大分の温泉旅館はどうなった?(1/3 ページ)

» 2025年10月09日 08時45分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 大分県日田市の山あいに「5つ星の宿」として高い評価を受ける旅館がある。「奥日田温泉 うめひびき」は福岡・熊本の県境に近い山と渓谷に囲まれた地域にあり、露天風呂や地元食材を使った食事で宿泊者をもてなす。近年知名度を上げたこの旅館は、もとは赤字続きだった地元自治体の第三セクターが運営する施設だった。経営難の市有施設が民営化によって再生した好事例として注目を集めており、集客への挑戦は続いている。

photo 地域特産の「梅」のデザインを外壁に用いた「奥日田温泉 うめひびき」=大分県日田市(一居真由子撮影)

民営化で存続模索

 地元特産の「梅」が随所にデザインされ、愛らしい雰囲気の館内。JR日田駅から車で25分。梅の生産が盛んな日田市大山町に旅館はある。平成29年11月、市の第三セクターが経営していた「豊後・大山ひびきの郷」を改装してオープンした。

 渓谷を望む露天風呂付きの客室や、1棟を離れとしたスイートルームなど32部屋があり、料金は1泊2食付きで1人3万〜6万円台。昨年には宿泊者限定で貸し切り利用ができるサウナを新設、リニューアルも進む。

 もともと旧大山町(現日田市)が14年に整備した産業・観光施設で、梅酒の製造工場に、レストランや宿泊もできる温泉施設が併設されていた。

 運営を担う三セクは、地域振興の夢を乗せ「おおやま夢工房」と名付けられ、特産の梅のPRや住民の雇用の場として役割を果たしたものの、利用者は徐々に減少。23年度に赤字に転落すると、翌年に市内で発生した豪雨水害も追い打ちとなって客足が遠のき、4期連続で赤字を計上した。施設の老朽化が進む一方、新たな投資を行うのは難しく、市は民営化による存続の道を模索した。

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