なぜ、1000円超の分度器が人気なのか 測定メーカーがこだわった「4つのポイント」インタビュー劇場(不定期公演)(3/5 ページ)

» 2025年10月10日 09時22分 公開
[土肥義則ITmedia]

なぜ開発したのか

土肥: 新潟精機は1960年に創業して、今年で65年目。製造業や建設業向けの測定器などを扱っていて、その数は3万点を超えるそうで。そもそもどういったきっかけで、1000円超えの分度器を開発したのでしょうか?

村岡: ちょっと前の話になりますが、2011年に、スケール(物差し)用として「快段目盛」を開発しました。これは、1度ごとに目盛の長さが階段状に変化し、さらに偶数(2度、4度……)の先端には小さな丸印を付けたものです。老眼で小さな文字や数字が見えにくくなる人でも使いやすいように工夫しており、快段目盛を採用したスケールとして発売しました。

 老眼の人に使いやすいということは、ほかの人にとっても使いやすいのではないか。そんなことを考えていると、「線を引くのが苦手な子どもがいる」「目盛や数字が多くて、使いにくい」という声を聞きました。であれば、快段目盛を付けた物差しを開発できないかと考え、2021年に「0基点定規」を発売しました。

2021年に「0基点定規」を発売

土肥: どのような特徴があるのでしょうか?

村岡: 線を引き始める「0」のところをL字にしました。線を引くのが苦手な子どもは「0」からではなく、少し右であったり、少し左から引くことがあるんですよね。でも、「0」の位置をL字にすれば、基点に鉛筆を置くだけで、線が引きやすくなります。

 さらに、先ほどご紹介した「快段目盛」を付けることによって、目盛をより読みやすくしました。

土肥: 「便利そうだなあ」という印象がありますが、こうした物差しは過去にもあったのでしょうか?

村岡: 以前、他社でも同じような物差しをつくっていたようですが、いまはございません。ただ、学校の先生や保護者はそうした物差しの存在を知っていて、「つくってくれませんか」「ほしいです」といった声がありました。

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