ソクサイリングは国内でトップシェアを誇るとはいえ、世界の競合も日本市場で存在感を増してきている。家電量販店では、各社のスマートリングが横並びで展示されているような状況だ。ソクサイでは、どのように製品の価値を高めているのか。
「差別化として、まず意識したのが本体デザインです。表面加工やカラーリングをシチズン時計マニュファクチャリング社と協業していて、光沢のギラギラ感を抑えるなど日本人の生活になじみやすいよう工夫しました。特に、ピンクゴールドやマットの色味は他社との違いが分かりやすいはずです」
スマートリングの小型化には技術的な限界があり、結果として、知名度の高い企業はどこも似たようなサイズ感に落ち着いている。そのためきゃしゃなデザインを求める女性には選ばれにくいというが、これは他社も同様の課題だ。
価格帯は、オーラリング(5万2800〜7万4800円)やウルトラヒューマン リング エア(5万9800円)と比較して、ソクサイリングは1万〜3万円ほど安い。オーラはとにかく多機能でアップデートの頻度も高いが、分析結果をフル活用する場合、月額999円、年額1万1800円の利用料がかかる。その点、ソクサイリングは全機能を無料で使えるため、これも差別化となる。
利用者層でいうと、オーラリングは30〜40代の男性が目立ち、ブランディング戦略が功を奏し、“ステータスとして”装着する人も少なくないという。一方でソクサイリングは、睡眠の悩みや健康診断の数値が良くないなどの健康課題を抱える40〜50代の男性がボリューム層になるそうだ。
「オーラリングは欧米で高い支持を得ているので、当社ではアジア圏で勝負したい思いがあります。とはいえ、まず注力するのは国内市場で、日本人が持つ睡眠課題の解決を目指します。実際にユーザーの意識や行動を変えていくには、アドバイスの精度を高めるだけでなく、ソリューションの提供も重要です。寝具やサプリ、目覚ましデバイス、クリニックとの提携など、方法は多岐にわたります。
そうしたソリューションと組み合わせながら、ソクサイリングで計測して、状態を理解して、改善を図るという良い循環を作っていきたいですね。同時に、臨床試験の結果を論文で示すなど、エビデンス構築にも取り組んでいく考えです」
ブランドが確立しているオーラは手強い競合だが、唯一の国産スマートリングであり、日本市場向けの開発に集中できるのはソクサイの強みと言える。販売先の拡大や医療機関との提携などが進めば、国内での立ち位置がより強固になりそうだ。
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。
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