長野県飯田市の小さな自動車修理工場から、ハンバーガー自動販売機が全国に広がりつつある。昭和の後期、ドライブインを中心に次々設置され一世を風靡(ふうび)したハンバーガー自販機に似ているようで違う“令和のハンバーガー自販機”。自動車修理とフードサービスというギャップに興味をひかれ、事業を展開する「いじりや」の社長で自動車整備士の小林由季さん(41)をたずねた。
小林さんが平成22年に創業したガレージいじりやは、旧車オーナーの間では知られた自動車修理工場。自身も、50年以上前に製造されたマツダ・シャンテなど複数の旧車を所有し乗り分けている旧車ファンでもある。
車に限らずレトロ好きな小林さんは、うどん・そば、ハンバーガー、トーストなど昭和レトロの自販機巡りをするうちに、次々と食品の自販機が無くなっていることに寂しさを感じていた。24時間営業のコンビニの普及による需要減や、経年劣化による故障、オーナーの高齢化が背景にあった。食品メーカーも先細り状態だ。
小林さんは自販機設置を通じて食品メーカーを応援しようと考え、ハンバーガーに着目した。令和2年、温め機能のない中古の冷蔵自販機を購入し整備工場敷地に設置。脇に家庭用電子レンジを置いて購入者が自分で温める形で提供を始めると1カ月で約600個が売れた。
新型コロナウイルス禍で自販機販売が注目され、設置の相談が各地から寄せられて台数が増えた。その分だけハンバーガーも売れたが、今度は食品メーカーが増産に対応できなくなった。
「できませんと言えない性格」という小林さん。未経験ながら自分でハンバーガーを作ることを決意。約1カ月で必要な設備を整え食品営業の許可を取り、食品部門「いじりやフードサービス」を作りハンバーガー製造に乗り出した。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
ドンキ「152円ビール」じわり人気 “地味過ぎる”見た目になった深いワケ
なぜラーメン二郎は信者を生むのか 支配と服従がもたらす“中毒性”の正体
「天下一品」閉店の背景は? 唯一無二の“こってり”に陰りが見える理由copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.
Special
PR注目記事ランキング