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ChatGPT、Cursor、ElevenLabs 月額3000円が当たり前になった「AIアプリ」ビジネス

» 2025年11月13日 05時00分 公開
[湯川鶴章、エクサウィザーズ AI新聞編集長]
ExaWizards

 モバイル時代、アプリの多くは無料、もしくは一括購入で300円前後という価格帯だった。ところがAI時代のアプリは、初期段階から月額3000円前後が当たり前となり、使い続けるには継続的な支払いが必要だ。アプリのビジネスモデルそのものが大きく様変わりしている。

AI時代のアプリは、初期段階から月額3000円前後が当たり前(ゲッティイメージズ)

CursorのARRは「半年で5倍」 異例の成長スピード

 AI時代のアプリにおける最大の成功例は、なんといってもChatGPTだろう。有料版のChatGPT Plusは月額20ドル(約3000円)で、ChatGPT Proは月額200ドル(約3万円)。有料会員数の公式発表はないものの、『The Verge』が経営陣の話として報じたところによれば、2024年春には600万人だった有料会員が、秋には1100万人、年末には1550万人、そして2025年春にはついに2000万人に到達したという。

 ChatGPT以外だと最近注目を集めているのがコーディングツールのCursor(カーサー)だ。Proユーザーは月額20ドル(約3000円)、Businessユーザーは月額40ドル(約6000円)で、Bloomberg通信によると無料ユーザー数が約100万人とされる中で、有料ユーザーが36万人というのは、非常に高いコンバージョン率といえるだろう。

 一方で音声生成AIのElevenLabsは、月額5ドルから1320ドルまで5段階の有料プランがある。有料ユーザー数は公開されていないが、30万〜40万人ほどと推測されている。モバイル時代のアプリは、最初は無料で提供し、人気が出れば有料版を展開するものが多かったが、AI時代のアプリは早い段階から有料版を提供。短期間で売り上げが急増しているケースが多い。

 例えばCursorの年間経常収益(ARR)はわずか6カ月で1億から5億ドルに伸びたという。急成長企業の代表格であるGoogleでさえ、2000年の収益は1億9900万ドル。そこから3億5000万ドルに達するのに2年を要した(This Week in Startupsより)。対照的にCursorは、わずか半年でARRを1億ドルから5億ドルへと5倍に伸ばしている。時代の違いはあるにせよ、異例の成長スピードだ。

出典:16 Changes to AI in the Enterprise: 2025 Edition

 シリコンバレーの老舗ベンチャー・キャピタルのAndreessen Horowitzのポッドキャストによると、同社が支援するC(Consumer、一般消費者)向けAI系スタートアップの創業12カ月目のARRを調べたところ、その中央値は420万ドルだったという。モバイル時代のB(Business-to-Business、企業間取引)向けスタートアップの12カ月目のARRは約100万ドル、AI時代のB向けスタートアップのARRは約200万ドルなので、C向けAIスタートアップのARRがずば抜けていいことが分かる。

 この急速な成長の理由としてAndreessen HorowitzのC向け投資担当者は、AIモデルの運用コスト(推論コスト)が高いため最初から課金せざるを得なかったことに加え、課金しても使いたいと思うほどAIネイティブな製品が優れているからだと分析している。またC向けで成功した製品は、すぐにB向けアカウントを提供しても成功することが多いという。

 モバイルアプリよりも高額なのにもかかわらず、ここまでAIアプリが受け入れられているのは、何よりもAIを搭載することで、これまでにないような付加価値を提供できているからだろう。

 高価格にもかかわらず急速に普及するAIアプリ。その背景には、AIがもたらす圧倒的な付加価値がある。これからも、AIネイティブな発想で構築された新しいアプリが、次々と市場に登場してくるだろう。

本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「月額3000円が当たり前──AI時代のアプリは最初から売り上げ急上昇」(2025年6月16日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。

著者プロフィール

湯川鶴章

AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。


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