中小企業向けの事業承継・M&Aプラットフォームとして、2011年にサービスを開始したトランビ。同社によると、事業の売り手と買い手をWeb上でマッチングさせるプラットフォームは、日本初だったという。
同社では、業界では一般的な「成約手数料」を不要にし、差別化を図っている。売り手は成約まで無料で利用でき、買い手は月額4378〜2万1780円の利用料を支払う仕組みだ。
常時約2000件の案件を掲載しており、現在のユーザー数は約22万人(2025年11月初旬時点、無料ユーザーを含む)。内訳は、法人ユーザーが約6万人、個人ユーザーが約16万人だ。2020年頃から個人ユーザー数が右肩上がりに伸びており、買い手の個人成約者数も大きく伸長している。
主な買い手は30〜40代だが、近年は20代も増えている。成約者の増加率を年代別に見ると、20代は直近3年(2021〜24年)で約5.2倍、30代は同約4倍、40代は同約2.7倍だった。性別では、男性が多い。
「個人で事業を購入しているのは、主に会社員のユーザーです。つまり、“副業の手段”としてM&Aを選んでいます。業種でいうと、IT系企業で勤務している方が目立ちます。若年層が増えている背景としては、『終身雇用を想定しておらず、起業マインドが強い人が多いから』ではないでしょうか。50代と比較すると、20代は圧倒的に起業の意思が強いと感じます」(片山氏)
そうしたマインドに加え、コロナ禍で収入が不安定になったり、仕事に喪失感を覚えたりすることも、M&Aに関心を持つきっかけになるそうだ。
「よく聞かれるのは、『もっと手触り感のある仕事をしたい』という声です。Web上のサービスを扱っていると、モノを触るわけでもないし、お客さんに直接お礼を言われることも少ないですよね。ですので、そうした経験ができる仕事を求める人が一定いますね」(片山氏)
トランビでのM&Aには、「株式譲渡」と「事業譲渡」があるが、個人が買い手になる場合は、ほとんどが事業譲渡だという。実際に事業を買うとなれば、まず会社員としての仕事と並行しながら、事業拡大の見込みが立ったところで独立する。あるいは、副業のまま継続する人や一定期間の運営を経て売却する人もいるそうだ。
事業を買う主な目的は、「収入増」と「将来的な独立」となる。これまでの傾向としては、20代で成約した人は、その後に独立することが多く、30代で子どもを持つ人は副業として継続している人が多いそうだ。
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