老舗企業が着実にDXを進めるポイントとして、古橋氏は3つ挙げる。1つ目がマネジメント層の理解だ。古橋氏はDX推進に抵抗感を持つ古いマネジメント層や社員に対して、テクノロジーが「ツール」ではなく「社会を進めるための普遍的な要素」であることを浸透させる必要性を強調した。
2つ目がスピード感だ。森下氏は「AIの進化により、ビジネスにおける開発スピードは従来の10倍程度に向上している。半年〜数年かける従来の契約はナンセンスであり、仮説検証を繰り返すスピードが重要となっている」と話す。古橋氏もこれに同意し、「すぐに現場の課題に着手するスピード感が大切だ」と話す。
3つ目が、ベンダーとの関係性だ。古橋氏は「クライアントとベンダーではなく、パートナーとして目指したいゴールと期間だけを共有し、実現方法は柔軟に協議・推進する体制が必要だ」と力説する。
古橋氏の元には、DX推進に悩む企業からの相談が寄せられている。「うちにはCTO(最高技術責任者)がいないから進まない」という声が多いそうだが、古橋氏は否定的だ。「AIを理解し、社内事情にも精通し、組織作りもできるCTOはそういないし、いたとしても一人に頼るべきではない。外部に優秀なパートナーを作り、複数のテーマを複数のパートナーと並行して進める体制こそが、老舗企業にとって現実的な解だ」(古橋氏)
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