オニツカタイガーが注目されがちですが、実は最も高い営業利益を出しているのは、パフォーマンスランニングシューズです。
先に行われた東京2025世界陸上には125名のアシックス契約アスリートが出場し、9つのメダルを獲得。男子マラソンでは上位20名中12名がアシックスのシューズを履いて出場し、ランニングの世界での知名度も急上昇しています。
特に高付加価値商品開発に力を入れ、北米でのランニング専門店でのシェアも9%から19.5%と従来の2倍以上に高めています。このような取り組みもあり、同社の海外比率はすでに75.5%に達しています。
アシックスはオニツカタイガーでファッションブランド的なイメージを作りつつも、会社の軸はランニングシューズやスポーツスタイルの日常用スニーカーです。「アシックスといえば、機能性の高いスポーツシューズ」という軸はあくまでブレさせないことが、成長の一大要因となっているのです。
このように、アシックスとミズノは、あくまでも「アスリートのためのスポーツブランド」という立ち位置を変えずに、フットウエア商品を軸に自社商品の機能性に磨きをかけています。それにより、高付加価値商品を生み出し、その戦略を基にライフスタイルやファッション分野への展開を進めています。
結果的にアシックスは、卸売り販売も2025年第3四半期において前期比118.5%、直営店も129.3%、ECも109.5%と全チャネルが伸びています。原宿のアシックス旗艦店にも、オニツカタイガー直営店に引けをとらないほど多くの顧客が来店しています。これは、ナイキが卸売り、直営店ともに大きく売り上げを落とし、客数減に悩んでいるのとは対照的です。
アシックスとミズノという国内スポーツメーカー2社は、アスリートが求める機能性に磨きをかけ、自社の独自性となり得るカテゴリーやアイテムに絞り込み、それを徹底強化するという「選択と集中」に取り組んだ結果、業績やファン層の拡大につなげています。
機能性だけでは不十分であるものの、ファッション性だけでも選ばれない。機能性とファッション性を両立させられたブランドだけが支持される時代。それが今のスポーツ市場です。
国内のスポーツメーカー2社の戦略には、日本企業が長年苦戦してきた海外市場で成功するためのポイントや、競争の激しい市場を勝ち抜くための秘訣(ひけつ)があります。2026年に向けた両社の取り組みに、今後さらに注目していきたいと思います。
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。「面白い会社をつくる」をコンセプトに各業界でNo.1の成長率を誇る新業態店や専門店を数多く輩出させている。街歩きと店舗視察による消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。直近では著書『図解入門業界研究 最新 アパレル業界の動向とカラクリがよ〜くわかる本[第5版]』を刊行した。
売り上げ世界一も“一人負け”状態 なぜ「クール」だったナイキは失墜してしまったのか
もう、ショッピングセンターはバンバンできない! オープンから3カ月で退店のテナントも…… 厳しすぎる“戦国時代”に突入したワケCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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