そんなブリヂストンは、業界でも屈指のタイヤ製造要素技術の保有数を誇る。その最新技術が「ENLITEN(エンライテン)」だ。といっても、具体的な技術ではなく、設計理論のようなものだ。
車両の運動性能、タイヤの摩耗性能を維持しながら、タイヤ重量を軽量化することで、転がり抵抗を大幅に低減できる商品設計基盤技術だという。
具体的には、パターンブロック挙動最適化、最新シミュレーション技術を活用した接地形状の最適化などにより、従来の運動性能やタイヤライフを維持しながら、使用する部材を削減。従来に比べて約20%軽量化し、転がり抵抗を約30%低減できるという。
BCMA(Bridgestone Commonality Modularity Architecture)という、タイヤの構造を3つに分け、それを異なるブランドや商品で共通化してコストダウンにつなげる技術も含まれる。このような技術力をアピールすることが差別化につながる。
また、エアレスタイヤの開発でも先行している。すでに構造的には「10年10万キロ」の耐久性を確保している。トレッド面を張り替えることで1、2回は再利用できるという点も、環境性能として注目される。
ジャパンモビリティショー2025では、グリーンスローモビリティ(EVの小型バス)が同社のブースに展示され、かなりの存在感を示していた。
ブリヂストンの創業の地、福岡県久留米市で2026年度から実証実験を行うグリーンスローモビリティ。パンクの心配がない次世代タイヤ「AirFree」は自動運転時代を見据えた未来のタイヤだ(写真:ブリヂストン)さらに、ブリヂストンはNASA(米航空宇宙局)の月面探査プログラム「アルテミス計画」に、JAXA(宇宙航空研究開発機構)を通じて参画。トヨタが開発する月面探査車のタイヤ開発を担っている。このタイヤにもエアレスタイヤの技術が用いられている。
空気入りタイヤの場合、真空かつ無重力の空間では、膨張を抑える工夫が必要なだけでなく、宇宙放射線の影響や温度変化の大きさなど、地球上にはない環境の厳しさがある。こうした環境下でも使えるエアレスタイヤができれば、未来のタイヤは大きく進歩するかもしれない。
最近はアジアンメイドの商品も日本で販売中だ。新興国にあるブリヂストンの工場で生産されるタイヤを輸入している。輸入コストはかかるものの、ブリヂストンの品質を備えたアジアンメイドのタイヤとして、売り上げを伸ばしている。
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