M&Aで売却を検討する理由として、「後継者不足」を挙げる声が減っている。タナベコンサルティング(東京都千代田区)の調査によると、譲渡を検討したきっかけは「自社の成長を目的とした他社とのアライアンス」(27.3%)が最多となるなど、成長の手段としてM&Aを選ぶ傾向が高まっていることが分かった。
業績別にM&Aの方向性を見ると、好調な企業は「会社・事業の譲受(買収)」について「検討・実施」(34.6%)や「関心あり」(53.8%)が突出しており、成長を加速させる手段として譲受を志向している結果となった。
一方、不調な企業は「譲渡(売却)」について、「検討・実施」(6.9%)や「関心あり」(27.6%)が相対的に高く、再編や撤退を視野に入れていることがうかがえる。
検討・実施状況を年別に調査した。2025年は「譲受を検討中・実施済み」(21.7%)と「譲受に興味・関心あり」(34.8%)の合計が56.5%と過半数を占めており、2023年から一貫して上昇傾向にある。
「譲渡」についての検討・実施や関心は12%にとどまり、「検討していない」は31.5%と前年(31.9%)とほぼ変わらない結果となった。自社の成長を目的とした譲受への関心は、年々高まっていることが見てとれる。
「検討していない」と回答した企業はその理由について「M&Aに頼らない自力成長を柱としている」が69.0%に上り、過去3年間で最も高かった。前年(49.4%)から19.6ポイント上昇した。
譲渡を検討したきっかけについては「自社の成長を目的とした他社とのアライアンス」(27.3%)が最も多く、「後継者の不在」(22.7%)が続いた。かつては「後継者不在」が過半数を占めていたが、2023年と比較すると半減した。
「会社・事業の再建」(13.6%)や「不採算事業の整理」(13.6%)という回答も一定数あり、アライアンスや事業承継に加え、成長や再編を目的とした選択肢としてM&Aが位置づけられている状況がうかがえる。
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