そんなデリケートなビール造りの世界だからこそ、尾﨑さんは改善業務に力を入れる。ミスが発生する可能性を極力下げるために、手作業を自動化したり、製造ラインの異常検知のポイントを増やしたりと、本来の製造・管理業務からはもう一つ手を伸ばした分野でもできることにはどんどん取り組んできた。
製品製造の後には、ろ過や商品充填、配送など、消費者の元にビールが届くまで、オリオンビールの仲間たちがたくさん控えている。「だからこそ、より安心安全に責任を持って仕事をしたいと思っています。誰が働いても現場がうまく回るように努力したいです」
ところで、ビールの製造現場にいると、今度は商品開発といった、“自分の理想のビールを追い求める”という仕事に興味が湧いたり移ったりはしないのだろうか。
「自分の作りたいものを作るより、相手の求めるものを正確に再現して喜んでもらいたい気持ちの方が強くて。むしろそこで、自分の存在価値を確かめられているのだと思います」
オリオンビールが掲げるミッションは「沖縄から、人を、場を、世界を、笑顔に。」。尾﨑さんはこう話す。「誰かの笑顔のために働けるのが、自分の性格に合った会社だなと感じています」
柔和ながらストイック。そんな尾﨑さんでも、体調が悪くなったり気持ちが落ち込んだりする日は、当然ある。「心身の調子が悪い時は、注意散漫になって仕事の質も落ちてしまいます。それでミスをしてしまうと余計にへこみますよね」
そんな“へこむ日”には、どうやってメンタルを回復しているのだろうか。
「改善業務をして先輩や同僚に褒めてもらうことで気分を上げていきます」。仕事のミスは仕事で取り返すのだ。
こうやって尾﨑さんは、職場のメンバーに支えられて仕事を続けてきた。オリオンビールへの入社を希望したのも、学生時代のインターンシップで訪れた際に、社員の商品愛や熱量に心を打たれ「一緒に働きたい」と願ったからだ。
若手の段階から一人前の社員として扱われ、先輩たちのサポートを受けながら、実践を通して幅広い業務に挑戦してきた。
尾﨑さんには、忘れられない言葉がある。
1年目の時に社内メンターからもらったこの言葉は、今も心の奥に光る金言だ。「仕事をしていると壁にぶつかることもあると思う。その時に腐ることは誰にでもできる。でも、そこから粘って成長することは、誰にでもできることではない」
尾﨑さんは「腐りかけた時にはこの言葉を思い出して、立ち上がっています」と話す。
「腐る」と「発酵」は、実は同じ現象だという。人間にとって有益かそうでないのか、ただそれだけの違いだ。視点を少し変えるだけで、同じ状況を前向きな気持ちで受け止めることができる。尾﨑さんは壁にぶつかっても腐ることなくビール製造に向き合い続ける。愛情を込めたビール酵母と一緒に、自身の成長も絶賛発酵中だ。
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