セールスフォース27歳エース営業 「何のために働くか」迷った日々と、見つけた答え教えて!あの企業の20代エース社員(1/2 ページ)

» 2025年09月24日 06時00分 公開
[大村果歩ITmedia]

 SFA(Sales Force Automation、営業支援ツール)などを提供し、企業の営業力向上を支援するセールスフォース・ジャパン(以下、セールスフォース)。同社が提唱する営業プロセス「THE MODEL」を多くの企業が導入するなど、営業力の高さにおいて一目置かれる存在だ。

 そんなセールスフォースで、27歳という若さでエース社員として活躍するのが新妻知晃さんだ。

 「顧客、社内関係者との関係作りが上手」「人事担当者が採用した中途採用社員で過去一キャッチアップが早い」と、同社の人事担当者も太鼓判を押す。

新妻知晃さん(セールスフォース・ジャパン MuleSoft事業統括本部 第一営業本部 第三営業部)

 新妻さんは2020年、新卒で大手ITサービス企業に入社。社会人のデビューは、新型コロナウイルスの影響でリモート中心となり、「『何のために働いているんだろう』と、モチベーションが下がった時期もあった」と振り返る。

 新妻さんは、コロナ禍で社会人になるという逆境とどう向き合ってきたのか。営業力の高いメンバーがそろう中で高い評価を得る新妻さんに、これまでのキャリアや仕事で大切にしている価値観について話を聞いた。

IT営業→大手銀行に出向で経験を積むも、外資へのチャレンジを決めたワケ

 新妻さんは2020年、新卒で大手ITサービス企業に入社。金融業界向けのソリューション営業を担当したのち、2022年に大手銀行に出向した。出向先の銀行では営業職を離れ、スマホアプリなどデジタルサービスのプロダクト企画を担当した。

 その後2024年にセールスフォース・ジャパンに中途採用で入社。現在は統合APIソリューション「MuleSoft」の製品営業として金融や保険業界を中心に、岡山以西の西日本地域の顧客を担当している。

 セールスフォースへの転職を決めた理由について、「外資系企業にチャレンジしてみたかった」と振り返る。

 「前職の経験で、日系企業は評価があいまいなことが多いなと感じていました。成績が良い時も悪い時も、自分への評価をはっきり伝えてもらえない。(今の自分の)何がダメで、どのような能力が不足しているのか分からない状況にモヤモヤすることがありました。そこで、より実力主義で、成果がダイレクトに評価に直結する印象があった、外資企業へのチャレンジを決めました」

 さらに、若手のうちに営業スキルを伸ばしたいと考えていたと続ける。入社から2年間営業の経験はあったが、若手で経験も浅く「先輩についていって、サポートをする程度」だった。

 「MuleSoftは導入金額が高く、IT投資や企業のお金の使い方を変えていくようなツールなので、お客さまの課題を聞き、解決策を提示するソリューション営業のスキルを伸ばせる環境だと感じました」

「何のために働いているのか」──コロナ禍で入社、苦しんだことも

 大手銀行への出向がキャリアにおける大きな転機になったと、新妻さんは振り返る。

 新妻さんが入社したのは2020年4月。新型コロナウイルスの影響でリモートワークへの急速な転換が進んでいた時期だ。入社当初は分散しての出社やシェアオフィスを活用し、同僚に会える機会はあったが、2年目から完全リモートに。

 学生時代はアメリカンフットボールに励み、チームプレーに楽しさを感じていた。働く上でも、チームで働くことに魅力を感じていた新妻さんにとって、一人で黙々と仕事を続けることはつらかったと語る。

 リモートワークの環境に加え、当時担当していた顧客からの厳しい要求も重なり、「『何のために働いているんだろう』と考えることもあった」という。

 「モチベーションが下がる中で、銀行へ出向し、環境が大きく変わったことが転機になりました。新型コロナウイルスの影響も落ち着きを見せる中で、出社が増えました。社会人になって初めて“大勢がオフィスにいる”環境で働くことができ、うれしかったですね」

 「プロダクト開発はチームで進めるので、上司やメンバーと直接話し合いながら考え、最終的に企画したモノが形になって世に出ていくという体験ができたことも、すごく楽しかったです。出向が大きな転機となり、モチベーションが回復しましたね」

 出向の経験は、現在のセールスフォースでの業務でも生きている。顧客となる金融業界の“中”を知れたことは現在の業務に大きく影響している。

 銀行では稟議を申請する機会が多かったと言い、製品導入の狙いや想定される効果を社内メンバーにどう伝えていくべきか、バイヤーイネーブルメント(顧客の購買行動を支援すること)の視点で学びが多かったと話す。

 「お客さまの社内全員が納得できるロジックをどう組み立てていくべきか、銀行時代の経験から多くのことを勉強しました」

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