ご存じのように、一般的なお葬式は午前中や昼に始まる。そこから火葬場で荼毘(だび)に付した後に食事をする「精進落とし」があって、だいたい午後の早い時間に終了という流れだ。
しかし、東京博善が提案する「夕刻葬」は午後6時に告別式が始まる。午後7時から火葬して、その間に食事を行い、午後8時30分から収骨を行って午後9時までには終了というものだ。12月から品川にある「桐ヶ谷斎場」で試験的に実施するという。
「中国資本が夜も火葬場を稼働させて荒稼ぎしようとしているのでは」などと意地悪な見方をされかねない状況の中で、なぜこのような新しい取り組みを始めるのか。
取材を申し込んだところ、東京博善の野口龍馬社長が自ら対応してくれた。この「夕刻葬」というチャレンジに踏み切った理由は主に3つある、と野口社長は説明する。
「1つめは『1日葬』のニーズが増えてきているためです。これは通夜を省略するお別れの形のことで、そのようなご要望に応えていくと昼間に火葬炉や式場に申し込みが集中して“火葬待ち”のような問題も起きてしまう。そこでご喪家にご不便をおかけしないよう、通夜がなくなって施設が空いている時間を有効活用すべきと考えたのです」
オンライン葬儀相談サービス「やさしいお葬式」を運営するLDTが調査した「葬儀トレンド2025年上半期」によると、葬儀の中で「1日葬」の比率は25%。2024年上半期では、17.7%だったことを踏まえると確かに増えている。この「葬儀スタイルの変化」に加えて「夜間の火葬」に踏み切ったのは、公共インフラを担う企業としての“危機感”もあるという。
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