箱根駅伝でナイキを抜いたアシックス 王者アディダスに仕掛ける“軽量シューズ戦争”(1/4 ページ)

» 2026年01月03日 07時00分 公開
[酒井政人ITmedia]

 世界に誇る国内スポーツブランドのアシックスが快進撃を続けている。2025年12月期第3四半期累計(1〜9月)の連結経常利益は前年同期比41.0%増の1245億円に拡大。売上高は約6250億円(同19.0%増)、営業利益は1276億円(同39.4%増)と、大幅な増収増益を達成しているのだ(参照:PDF)。

アシックスの快進撃が続いている(画像:ゲッティイメージズより)

 オニツカタイガー人気だけでなく、パフォーマンスランニングも分野も好調。同カテゴリー利益率は25.5%で、前年同期比1.7ポイント増だった。

 そして国内でもアシックスは存在感を発揮している。その象徴になっているのが、箱根駅伝でのシューズシェア率だ。

第102回箱根駅伝 公式プログラム&ポスターセット(画像:アシックス公式Webサイトより)

 数年前、アシックスは箱根駅伝で地獄を見ている。2017年にカーボンプレート搭載の“厚底シューズ”を投入したナイキの着用率は2021年大会で驚異の95.7%(210人中201人)に到達。その一方で、アシックスは0人に終わった。

 それでも2022年大会で盛り返す。シェア率を一気に11.4%まで取り戻すと、その後も着用者を増やしていく。

 2023年大会で15.2%、2024年大会で24.8%まで上昇させると、前回(2025年大会)は25.7%とさらに伸ばしたのだ。トップに立ったアディダス(36.2%)には届かなかったが、ついにナイキ(23.3%)を逆転した。

アシックス躍進を支えた「Cプロジェクト」

 アシックス躍進の裏にあったのが、前代未聞ともいうべき「Cプロジェクト」の発足だ。2019年の11月、トップアスリートが勝てるシューズを開発すべく各部署の精鋭を集めた社長直轄組織として誕生した。CはCHOJOの頭文字で、アシックス創業者・鬼塚喜八郎氏の口癖「頂上から攻めよ」に由来する。

アシックスの快進撃を支えた「Cプロジェクト」(画像:アシックス「統合報告書2021」PDFより)

 新モデルを開発するには通常、数年の時間を要するが、わずか1年ちょっとの短期間で斬新なモデルを完成させた。

 2021年3月に登場したカーボンプレート搭載レーシングシューズの「METASPEED」シリーズだ。ストライド型(歩幅を伸ばすことでスピードを上げる)用の「SKY」と、ピッチ型(回転数を高めてスピードを上げる)用の「EDGE」の2種類があり、ともにストライド(歩幅)が伸びやすい仕様になっている。

 ランナーの走り方に着目した「METASPEED」はアップデートを重ねていく。2022年に「METASPEED+」シリーズ、2024年に「METASPEED PARIS」シリーズをローンチ。そして2025年7月に「METASPEED TOKYO」シリーズを発売した。前作から15グラム軽量化して片足170グラム(27.0センチ)。エネルギーリターンも向上した。

METASPEEDシリーズ(画像:アシックス公式Webサイトより)

 これを実現できたのは、軽量性と反発性に優れている新クッションフォーム材「FF LEAP」の開発に成功したためだ。前モデルに使用していたフォーム材との比較で、15.0%軽く、13.7%反発性を高め、クッション性は30.0%向上。このフォームの特性を生かしたことで、「SKY TOKYO」は前作と比較して18.8%、「EDGE TOKYO」は21.4%のエネルギーリターン向上を実現した。

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