人気モデルが進化しただけでなく、アシックスは別の視点で新たなモデルを開発していた。それが「軽量モデルのニーズを受けて開発した」という「METASPEED RAY」だ。
「RAY」は日本語の「零(ゼロ)」からインスピレーションを得ており、実際かなり軽量だ。重量は129グラム(27.0センチ)。大手スポーツ用品が販売する厚底ランニングシューズでは最軽量となる。価格は3万3000円だ。
アシックスの廣田康人会長兼最高経営責任者(CEO)は「われわれの新しいイノベーションにより、現時点で一番良いものをランナーが買いやすい価格で出せた」と胸を張る。対抗意識を燃やしたのは前回の箱根駅伝でシェア1位になったアディダスの最速モデルだろう。
ウォーミングアップなどを含めてフルマラソン1回分で最大のパフォーマンスを発揮できるように設計された「ADIZERO ADIOS PRO EVO 1」だ。最大の特徴は138グラム(27.0センチ)という超軽量にある。ただ、価格が8万2500円というのが消費者にとっては悩ましかった。
RAYは価格の壁も超えた。その誕生の裏には「1グラムを削り出す戦い」(アシックス スポーツ工学研究所担当者)があった。
軽量化に成功した最大の要因は前述した新フォームの超軽量素材である「FF LEAP」をミッドソール全体と中敷きに採用したことだろう。またカーボンプレートもフルレングスではなく、前足部中心でよりミニマムな形状となっている。
「レイヤーが増えると接着に使う糊(のり)も増える。RAYはミッドソールを1層のみにして、カーボンプレートも最小限にしています。そして踵部分をどこまで削れるのか。削って、走って、削って、走って、を繰り返して、ギリギリまで削りました。それからグリップも半分程度の薄さにして、シューレースの先端につけるプラスチックパーツを取り除き、ひも先を圧着しました。本当に1グラムの積み重ねで129グラムという超軽量を達成したんです」(同担当者)
安定性を求める選手には「SKY TOKYO」と「EDGE TOKYO」。軽量性を求める選手には「RAY」という選択肢ができた。「できるだけ多くのアスリートにプロダクトを提供したい」というアシックスの熱い思いが実現したことになる。
箱根駅伝の“足元争奪戦” トップ独走のアディダスに逆襲を狙うミズノ、海外ブランドも名乗り上げ
逆襲のアシックス 箱根駅伝で「シューズ着用者0人」からV字回復、その舞台裏
倒産寸前なのに年収100万円アップ 売上38億円のV字回復を実現した、山梨のプリント企業の「決断と狙い」
なか卯の「床に置かれた食器」問題 企業の沈黙が呼ぶ“将来の波紋”
「パーカーおじさん」はなぜ生まれた? ちょいワルおやじがビジネスシーンに与えた、無視できない影響Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング