昭和とZ世代の板挟み……それでも30〜50代「半身タイプ」が職場のキーパーソンになる理由(1/2 ページ)

» 2026年01月07日 10時00分 公開

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 ベテラン世代は若手社員の価値観が理解できず、若手世代は従来の組織文化や慣習に違和感を抱いている――。前回、前々回と、最近、職場において問題になっている「世代間コミュニケーションの分断」をテーマに論じてきました。

(関連記事:ベテランは距離を置き、若手は黙って去る――「職場断絶」のリアルと、その処方箋

 「伝統的な組織文化・規範」に心理的に距離感が近いか、遠いかによって、 社員を「埋没タイプ」「半身タイプ」「孤別タイプ」の3つのタイプに分類。前回のコラムでは「埋没タイプ」と「孤別タイプ」それぞれの特性や強み、課題について見てきました。

  • 埋没タイプ:社会の主流の規範と同化しており、職場での心理的な安定感は高め。ベテラン層に多い。
  • 半身タイプ:会社に愛着はあるが、同時に客観的・批判的に見る眼も持つ。昭和後期〜平成初期生まれに多い。
  • 孤別タイプ:伝統的な組織文化・規範との心理的距離が遠く、非合理的なものとして警戒する傾向。Z世代などの若年層に多い。

(関連記事:「昭和の安定」と「Z世代の違和感」 真逆の2タイプが組織を強くする理由

 今回は、これら上下の世代の間に立ち、双方の気持ちをある程度理解できる「半身タイプ」に焦点を当てます。昭和の価値観と令和の価値観、その両方を知るこの世代こそが、実は組織の分断を修復し、新たな活力を生み出す「キーパーソン」なのです。

昭和の価値観と令和の価値観、その両方を知る「半身タイプ」が世代間コミュニケーションの分断を修復する「キーパーソン」に。写真はイメージ(ゲッティイメージズ)

著者プロフィール:塩見康史(しおみ・やすし)

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株式会社スコラ・コンサルト プロセスデザイナー。

クラシック音楽の作曲家として長年活動。自身の芸術分野での経験をビジネスに応用し、創造的な社会と組織をつくる支援をライフワークとしている。

主に人事分野において、教育体系構築、採用戦略策定、人事制度策定等を実務で経験、さらに創造的な組織文化醸成に積極的に取り組んだ。

スコラ・コンサルトでは、人事課題をはじめ、組織開発、ミッション・ビジョン・バリュ−策定、戦略ビジョン構築など、経営課題の全般にわたり、本質的な経営課題をあぶりだすアプローチを得意とする。共著に『わたしからはじまる心理的安全性』(翔泳社)。


現在の30代半ば〜50代前半 葛藤が生み出す「半身タイプ」の強み

 「半身タイプ」は、主に昭和後期から平成初期に生まれた世代(現在の30代半ば〜50代前半、いわゆる就職氷河期世代を含む層)に多く見られます。

 彼らの最大の特徴は、昭和的な伝統的組織規範へのアンビバレント(両義的)な感情にあります。若手の頃、強烈なトップダウンや滅私奉公を求める「埋没タイプ」的な文化に対し、「何かがおかしい」「もっと効率的にやるべきだ」という反発心(カウンター)を持っていました。しかし、組織の中で生きていくために、不本意ながらもその規範を受け入れ、適応してきた歴史があります。

 そんな彼らの「強み」は次のような点にあります。

1. 「翻訳者」として世代をつなぐ

 半身タイプの最大の強みは、埋没タイプと孤別タイプの両方の価値観を理解できる「翻訳者」としての役割です。組織の伝統や価値観を理解しながらも、それに全面的に同化せず、客観性を保っているため、異なる世代間のコミュニケーションギャップを埋める橋渡し役として期待されます。

 上の世代の「当たり前」を下の世代に伝える際に、単なる押し付けではなく、その背景や意義を現代的な文脈で再解釈し、説明できるのは、半身タイプならではの強みです。同時に、下の世代の新しい価値観や問題提起を、上の世代が理解しやすい形に「翻訳」することもできます。

2. 変革への適応力を持っている

 半身タイプは、バブル崩壊以降の失われた30年の中で社会人となりました。社会が大きく変化する中で、たくさんの苦労を経験しつつ、なんとか変化に対応し続けてきた世代でもあります。

 そして組織への一定の愛着と忠誠心を持ちながらも、同時に批判的視点から見ることができるこの世代には、現実的なバランス感覚の上に立った変革を推進する能力を期待することができます。

「自分の軸」が見えにくい 「半身タイプ」の課題

 一方で、半身タイプには以下のような課題もあります。

1. アイデンティティの揺らぎ

 半身世代の弱点は、「自分たちの軸」が見えにくいので、アイデンティティが揺らぎやすいことです。 埋没タイプには「組織への忠誠」という軸があり、孤別タイプには「自分らしさ」という軸が一応あります。しかし、半身タイプは「上の世代への反発」でアイデンティティを形成してきた側面があるため、「じゃあ、あなたはどうしたいの?」と問われると、答えに窮することがあります。

 また、無意識のうちに「自分が若手の頃に苦労したのだから、君たちも少しは我慢すべきだ」という、かつて自分が嫌っていたはずの伝統規範的な圧力を、下の世代にかけてしまうリスクも持っています。

2. リーダーシップ発揮に疲弊する

 この世代にかかる仕事の負荷は年々大きくなっています。年代的には中間くらいの立ち位置となり、中には管理職につく人もいます。会社からの要望と、現場の実態にはかなりの乖離があることも多く、それを無理にでも埋めなければならないと焦りがちです。

 上の世代からも下の世代からもあれこれ言われることが多く、そういう場面でこそ、本来はリーダーシップの発揮が求められるのですが、そもそもアイデンティティや軸が見えにくいことから、他の世代から“迫力不足”と見られたりします。

 体力的に衰えが見え始める時期でもあり、肉体的・精神的な負担が大きくなり、なおさら疲労感が蓄積してしまいます。

 このように多難な半身タイプですが、実は組織を健全に機能させていくキーパーソンとして大きな可能性を潜在的に秘めていると思うのです。

 組織は相互理解や協働が低下すると機能不全になります。しかし、上の世代も下の世代も、価値観や考え方を理解しあえずにいて、互いに宇宙人を見るような状況になってしまっています。

 そこで、間に立つ半身タイプの存在が重要になってきます。

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